「暗記」という作業

「暗記」という言葉ほど使い方に難しい言葉は無いと思っています。

受験生としては何か一つの勉強法に頼りたいと思うのですが、そう上手くはいきません。なので、自分は講義の中で

「覚えて下さい」

とは、極力言わないようにしています。
色々と誤解されるのですが、ここで「覚えないで下さい」とはいっていません。「覚えろ」といってないから「覚えなくてよい」という反対解釈は成り立ちません(残念!)。すなわち「暗記」という行為が不要というのであって、覚えることは必要です。

例えば、駅から自宅(会社)までも道のり。これ「暗記」しますか?といえばしませんよね。では毎日迷子かと言われれば、どんな方向音痴の人もそれは無いでしょう。「覚える」という作業をしなくとも「毎日」繰り返すことで自然と覚えているのです。

ちなみに、人間って不思議ではないですか?
電話しながら、違うこと考えていても、何も意識せず家まで歩けるんですよね。「ここで右曲がって」とか考えずに、自然と帰れる。車を運転していても、何も考えずにちゃんと右折して家にたどり着く。それを考えると、自分で一人「すごい!」って思っています(ただ、家に帰ってるだけです)。

さて、話を戻しましょう。この感覚ですが条文も同じです。「暗記しよう」と思って覚えたとしても結局忘れてしまいます。でも、論文のレジュメを見るたびに条文を引いていれば特許法79条が「先使用」の条文だと自然と覚えてくると思います。逆にあまり引かない条文、例えば特許法87条が裁定謄本の送達ということは覚えていません。しかし、「見ていない条文」=「試験に出ない条文」ですから、試験勉強としては問題が無いのです。

この頻繁に見るという行為は非常に重要です。「覚える」というより、「覚えちゃった」という方が自然だし、忘れません。だから、この状態まで持ち上げて欲しいのです。どれだけ繰り返せるか?というのがポイントになって来ます。

ただ、得意分野と不得意分野で覚えるのに差があります。また、天才の人は1回で覚える人もいるでしょう。どちらにしても「回数」でカバー出来る話です。「覚えられないんですよ」って人は回数が単純に足りてないだけです。2回読んで覚えていなければ、3回、4回と回数を増やしていけば良いのです。


それと、もう一つは試験に出ることを覚えることは当然のことです。それをわざわざ講師が指導(指摘)するのはおかしな話だと思っているからです。極端な話、青本一冊暗記してもらえば試験受かるわけで、「はい、青本覚えて下さい」で講義は終わりです。それが出来る位なら受験機関にお金を出して通う必要はありません。

なので、「覚えて下さい」という言葉は講師側の逃げ道だと思っています。極力「覚える努力」をしなくても記憶に残る勉強、記憶から導き出せる勉強を出来るように講師はする必要があると思ってます。


と、ここまで書いていて・・・日曜日は論文編。基本レジュメの定義・趣旨は・・・・・覚えて下さい><