9/15日記にご質問の内容を踏まえて

コメント欄だと長くなりますので、こちらで回答します。質問内容を題材に利用していることはご了承下さい。
条文の正確な理解は非常に重要です。受験生は、言葉一つを軽く見がちですが、知財業界も、法律業界も言葉を非常に大切にします。条文だけではなく、趣旨も含めてです。例えば、今回コメント(ご質問)で、

(特)34条4項では、効力発生要件とすると特許出願前においては特許を受ける権利の承継ができないということになり、社会の実情から考えて不便が多い

と、趣旨が記載されておりましたが、まず「何の効力発生要件」か伝わってきません。そもそもこの文章が青本P.100の内容だと思いますが、この段落は34条1項について記載しており、34条4項の話ではないことになります。とりあえず、これらのことだけでも、お聞きになりたいことが伝わって来ません。

題材として扱って大変申し訳無いのですが(ただ、これも考え合ってのことですので、ご了承下さい)、この点は質問者個別の事例という訳ではありません。受験生は「これで解るだろう」という感覚が非常に強いです。しかし、採点者側には意図が伝わりません。正直言えば、採点者側(例えば受験機関講師、弁理士、学者)は文意から言わんとしていることは伝わります。ただ、弁理士として合格した後に、弁理士以外の人(クライアント)にこれを伝えた場合は全く伝わらないでしょう。

短い文章であっても、正確な文章を伝えることは出来ます。この点につき、多くの受験生は「急いでいるから」「たまたま」「短い表現だから」と考えがち(逃げがち)ですが、深層は別のところにあると思います。結果として理解力が伴っていない状態(と認識出来てない)状態です。

よって、勉強の力も直接見なければ個別には解りません。これは、お医者さんが患者さんを見て症状を個別判断していくように、人によって違うからです。一律に「○○だから××である」とパターン化出来るものではありません。

勉強レベルについても「条文番号を言われてすぐ見出しが言えるレベル」だからといって、その人に力があるか否か解りません。理解と暗記は違うからです。逆に覚えていなくても、しっかりと答えを出すことは可能です(なので、一般論のお話しか出来ませんし、今回の質問もある程度上位概念として書いております)。
更に、条文には基本的に趣旨はあります(無いのは条約の要請等です)。ご質問の条文にも趣旨はあります。独学であればそれを考えるしかないですし、受験機関を利用しているのであれば講師に質問するのが一番の解決法だと思います。

自分自身、受講生が疑問に感じているのであればとことん付き合いますし、逆に質問はドンドンして欲しいと感じています。講義後、ツイッター、ブログのコメント何でも良いと伝えています。それは、一度教えた受講生であれば、今講座を取っている否かにかかわらず、頼って欲しいと思っています。

ただ、自分もスーパーマンではありませんし、無尽蔵に時間がある訳ではありません。したがって、関わっている受講生で手一杯で、その他総てのご質問にお答えすることは出来ません(それでも、弁理士受験生という点は同じなので、極力ヒントが与えられるようには考えております)。


勉強方法を含め、条文の趣旨等、色々疑問点に感じることもあると思います。解決法が見つからない場合は、一度受験機関の講師にご相談されることをお勧めします。