弁理士試験受験生

色々な受講生の人と話していて感じるのですが、皆さん「受験生」としての勉強なんですよね。合格した後の「弁理士」を意識していないと感じています。例えば、侵害対応、拒絶理由対応という典型的な事例パターンでも、項目として暗記している人が結構います。「弁理士」の考え方では無いのかな?と感じています。

中には試験向けのレジュメもあるのですが、ある程度は「弁理士であればどうするのか?」って意識をしながら勉強して欲しいと感じてます。その方が面白いと思うんですよね。無味乾燥で覚えるより。

「実務でやっていないから解らない」という人も多いのですが・・・特実意商から、著作権、不競法まで実務で扱う人は、弁理士であってもそんなにいません(笑)。

これ、弁理士受験生は良く聞く台詞なのですが、司法試験受験生で「いや、訴訟とか経験してないので」という受験生はいません。身近なところでは、教習所で「いやー私実際運転してないのでよくわからないです」と言えば「運転してないのは当たり前だろう」と教官に怒られるでしょう。

確かに仕事でしている人もいるのですが、かといって資格試験は「実務ありき」では有りません。とはいっても、実務家登用試験の一面もありますから、やはり合格した後は「弁理士」になるのですが、それを想定した学習をすることは大切です。

学生や若い人は「体力」「暗記力」で有利なのかも知れません。しかし、社会人受験生は今度は社会経験が非常に役に立つわけです。例えば、侵害論文レジュメで「実施権許諾を求める」と直ぐ挙げる人がいます。しかし、企業において、製品を作る段階で他社にライセンス料を払う(余計なコストをかける)ということは、社内決裁を通らないことは感覚的に解るでしょう。

そう考えると、年齢が上だからといって一概に不利だという試験では無いと思っています。知財については企業が主体のことが多いので、社会人経験の判断は非常に有用だからです。

とりあえず、自分が「弁理士」になったつもりで問題は読んでもらいたいといつも思っています。少しは想像しやすいように、講義では具体的な事例や場面を出来るだけ出すようにしているつもりです。

さて明日は口述模試の試験官をやってきます。今「弁理士」に一番近いところにいる人達の試験。今から楽しみです。