短答過去問の学習方法2

昨日は入門講座の答練編がありましたので・・・短答試験の勉強方法の2回目です。
短答試験の勉強で最終的なゴールは何処になるかというと、

「本試験の現場で正解を正しく導き出すこと」

が最終的なゴールです。ここで、「条文の理解」「特許法の知識を身につける」ことは当然重要なのですが、受験生の段階ではこれらも一つの手段です。すなわち、最終的なゴールから逆算していくと

「弁理士試験に合格する]
   ↑
「試験で合格点を取る」
   ↑
「点数になる答案を書く(論文)」
「点数になる正解を導き出す(短答」)

となります。この点数を取るための一つの手段として「条文の理解」等があります。逆を言えば、それ以外にも必要なことがあるわけです。「試験勉強である」ことが解っていないと、合格に時間がかかることになります。

さて、話を戻して短答試験、すなわち過去問の学習方法ですが、それは「過去問を使って勉強をする」ことを心がけて欲しいということです。「過去問を学習しない」という点です。

例えば、平成24年の第51問です。

(イ)特許庁長官は、特許法の規定により期日を指定したときは、請求により又は職権で、その期日を変更することができる。

正解は「×」になります。まず、「あーこれは「×」なんだな」で終わるのが一番まずい勉強です。

次が、理由まで考えているかどうかです。そうすると、根拠としては特許法5条2項の規定になります。

第5条
1  特許庁長官、審判長又は審査官は、この法律の規定により手続をすべき期間を指定したときは、請求により又は職権で、その期間を延長することができる。
2  審判長は、この法律の規定により期日を指定したときは、請求により又は職権で、その期日を変更することができる。

5条2項の主体は「審判長」となります。過去問の枝は主体が「特許庁長官」ですから誤りとなります。

で、ここまでが「過去問を勉強している」ことになります(解説もだいたいここで終わります)。過去問の勉強で大切なことは、その次の段階まで勉強出来ているか、すなわち「何故5条2項の主体は審判長だけなのか?」ということです。

そもそも5条1項と5条2項の違いは、対象が「期間」と「期日」とで異なります。この「期日」について、特許法で登場するのが145条、147条、151条です。147条は145条の期日に基づいての規定です。また、151条は審判手続における民事訴訟の準用です。

そうすると、145条から明かなように、期日を変更する場面というのは、主体が審判長しか無い訳です。したがって、5条2項においても、主体は審判長しか規定されていません。ここまで根拠を考えていれば、仮に同じ問題が出ても「あれ、主体は誰だったかな?」と忘れるリスクは単純に暗記するより減ると思われます。

このように、過去問の枝について「理由まで考える」というのは、なぜ解説の記載になるのか、どうしてそういう条文となっているのかを考えることになります(ただ、直前にはこういう勉強法は時間がかかりますので、少なくとも1〜2月までに終わらせるべきです)。