共同出願における秘密請求

秘密意匠に関する問題です。甲・乙共同出願の場合、単独で秘密の請求が可能か否かという論点があります。例えば、論文レジュメではよく以下の様に記載がされています。

なお、共同出願の場合は、規定がないが(準特14条参照)、共有者全員で請求しなければならないと解する。意匠を秘密にすることは他の共有者に重大な影響を与える行為と考えられるためである。

ここで、秘密意匠を請求出来るタイミングとして、出願時であれば、そもそも甲・乙共同で出願する必要があります(準特38条)。したがって、この場合は共有者全員で請求する必要があります。

しかし、平成18年法改正により、設定登録料の納付と同時に請求することが出来るようになりました。この設定登録料の納付ですが、この手続自体は甲(乙)の単独で出願をすることが可能となります。

とすれば、設定登録時に秘密意匠の請求をする場合は、単独(代表者)が手続を行うことは「可能」となるのではないでしょうか?仮に、「他の共有者に重大な影響を与える行為」という理由であれば、設定登録後に、秘密請求期間を単独で変更可能である説明が付かないと思われます(例えば、17−22−1等)。

根拠の無い答え

この点について特許庁に問合せをしました。設定登録時に秘密請求をする場合、全員を書いてもらっても良いし、仮に一人しか書いていない場合は、「代表者が手続を行ったと考え」手続は有効だそうです。

結局、他の法律と違い、特許庁は行政庁としての運用があります。如何に「法律的には〜」と考えても、実務的には特許庁が運用されている手続に従う必要がある(=答えを特許庁が持っている)点が、他の法律の試験勉強とは違うのかも知れません。

いつもながら、この点は電話で確認した内容であって、書面で特許庁から開示されている情報ではありません。その点取り扱いにご注意下さい。