罰則のまとめ

罰則について「まとめて欲しい」との要望があったので軽くまとめて起きます。表等から金額を追っていくというより、これらの条文も流れで押えられると楽だと思います。

まず、結構気がついてない人が多かったのですが、罰則で押えて欲しいのが

懲役N年以下の罰金額はN×100万円

です。全部ではないのですが、例えば

  • 特許直接侵害の場合:懲役10年以下→罰金額10×100=1000万円
  • 詐欺行為の罪:懲役3年以下→罰金額3×100=300万円

等です。秘密を漏らした罪の懲役1年の場合が50万円以下という例外はありますが、他はこの公式でまず出せます。

さて、次に各法律間ですが、特許法と商標法が厳しいです。これは、特許法産業財産権の基本だから、商標は影響が大きいからです。
それと比較して意匠はデザイン、実用新案は小発明ということで少し軽い印象です。

<特許・商標> <意匠・実用新案>

このグループを次にイメージして下さい。

以下、具体的な規定です。

侵害

侵害は原則10年以下の懲役です。罪が重いです。特許法、意匠法、商標法総て同じです。実体審査がない実用新案法だけ5年と軽くなってます。意匠も実用新案と同様昔は5年でしたが、平成18年法改正で引き上げられました。

さて、この10年も全体的に厳罰化で引き上げた経緯があります。そうなると「間接侵害まで引き上げるのはかわいそうだろう」という声がありました。したがって、各法律とも、間接侵害は「5年」と半分になってます。

実用新案は直接侵害も5年ですから、この規定はありません。

秘密保持命令違反

次に、重いのが秘密保持命令違反です。「秘密の約束」を破った人だから許せませんよね。なので、5年以下の懲役です。間接侵害と同じですから、とても重いです。

両罰規定1

ということで、上の行為は普通企業が違反することが多いでしょう。そこで両罰規定が設けられています。上の行為違反をすると、企業にも罰金が科されます。その額なんと3億円!

3年目の浮気(古い)

次は、懲役3年以下と設定されているのが、詐欺・虚偽表示です。この辺も企業が騙した、虚偽の表示をしたというのを懲らしめる規定になっています。とりあえず懲役3年以下です。
ちなみに、最初のイメージに書いたように、実用新案と意匠とはセットで軽いのです。したがって、1年以下(100万)と期間が違います。

両罰規定2

一応懲役3年以下の行為、詐欺・虚偽も会社がグルになってやることが多いです。したがって、両罰規定が適用になります。こちらはちょっとお安くなって1億円!

嘘ついちゃった

さて、次に証人として呼んだ人が「嘘ついちゃった!てへ!」なんて言われたら、他の人はみんな困ってしまいます。そこで、証人が嘘をついたら懲らしめなければなりません。これが3月以上10年以下の懲役の偽証罪ときついお仕置きになります。
なお、当事者はどんな嘘つくなといっても、有利にするため、不利なことがばれないため、保身のために嘘をつくこともあるでしょう。法律もそこは解っていて、その場合は過料というちょっと軽い行政罰ですみます。
同様に、呼ばれたけど来なかったとか、理由が無いのに命令に従わなかった場合も過料になります。イメージとしては「こらっ!」って怒られる程度です(正確には行政罰で10万円以下となります)

特許庁の犯罪

こんなタイトルの小説・・・書けそうです。
さて、特許庁の職員が秘密を漏らすと、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金だそうです。ただ、弁理士試験で、特許庁職員が悪い人・・・って、出題しにくいですよね。なので、出題頻度はすごい低いです。気にしなくて良いでしょう。

発展事項

偽証罪

偽証罪は自白すると罪が軽くなります。「ごめんなさい!嘘でした!」と自ら言って欲しいという気持ちです。

秘密保持命令違反罪

告訴が必要です。秘密を漏らされて困るのは相手です。相手が問題無く「OK!」と言ってもらえるのであれば、罪に問いませんってことです。ただ、この秘密保持命令違反だけ、だめな場合は外国でも適用されます。