短答試験直前期の勉強1

短答試験まで残り22日となりました。みなさん順調に勉強が進んでいますでしょうか?
おそらく、勉強しても「終わらない」という焦りを感じているかと思います。ただ、それは他の人も同じこと。焦らず着実に勉強を進めてください。

さて、直前のこの時期の勉強法ですが、一番理想的な勉強法は「条文の確認」です。条文を素読することによって、本試験で何が出題されても良い状況まで引き上げておきます。

このとき、条文の要件を過去問で「問われている要件」と、「問われていない要件」とを意識して学習する必要があります。具体的には、例えば、特許法46条。この条文をどのように読むかです。

第46条(出願の変更)
1 実用新案登録出願人は、その実用新案登録出願を特許出願に変更することができる。ただし、その実用新案登録出願の日から3年を経過した後は、この限りでない。
2  意匠登録出願人は、その意匠登録出願を特許出願に変更することができる。ただし、その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から3月を経過した後又はその意匠登録出願の日から3年を経過した後(その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から3月以内の期間を除く。)は、この限りでない。
3  前項ただし書に規定する3月の期間は、意匠法第68条第1項 において準用するこの法律第4条の規定により意匠法第46条第1項に規定する期間が延長されたときは、その延長された期間を限り、延長されたものとみなす。
4  第一項又は第二項の規定による出願の変更があつたときは、もとの出願は、取り下げたものとみなす。
5  第44条第2項から第4項までの規定は、第1項又は第2項の規定による出願の変更の場合に準用する。

これを単純に読んでも効果は薄いと思います。まず、本試験で問われている要件を確認します。過去10年では1項但書が平成14年、平成15年に問われています。したがって、先ずその要件をしっかり確認します。次に、平成20年に44条2項の準用(29条の2との関係)が出題されています。したがって、「分割出願と同じ」である点を確認します。

次に、試験で問われていない条文。2項を確認します。2項は意匠法からの出願変更です。ここで、3年は1項の実用新案と共通です。2項では「その意匠登録出願について拒絶をすべき旨の最初の査定の謄本の送達があつた日から3月を経過した後」という要件が含まれていることを確認します。
これは拒絶査定となったら、その後如何するか?3ヶ月間の猶予が与えられるためです。拒絶査定不服審判や拒絶査定後の分割出願と同じ趣旨です。なお、分割出願と同様「最初」という文言が入っていることに注意します。変更を検討するチャンスは1回だけ!ってことでしたね。
そのように趣旨・理由付けまで考えると、中々忘れないものです。

さらに、条文を読んでいくと、この3ヶ月間はミニマム期間(必ず確保される期間)です。それがかっこ書きの規定となります。そして、この3ヶ月は4条延長となる場合もあるのです。

そして、次に4項で「取下げ」になる点が記載されています。例外規定はありません。従って同一性がなく、変更出願の要件を満たしていなくても(出願日が遡及しなくても)、取下げになってしまいます。

このように、条文を丁寧に読んでいくことが必要です。この過去問で問われている要件と、それ以外の要件については、既に四法等に落とし込まれていると思います。過去問だけ解く(条文を読まない)と、過去問で問われていない条文の知識が落ちてしまいます。

目的意識が無いと条文は読んでも頭に残りません。必ず目的意識を持って条文を読むよう、心がけてください。