承諾・同意・許諾について

質問があったのでお答えします。こららの言葉の使い分けです。

承諾

まず承諾は、相手から受けた申し出について回答するイメージです。登場人物は「申し出をする人」「承諾をする人」となります。

第97条(特許権等の放棄)
特許権者は、専用実施権者、質権者又は第35条第1項、第77条第4項若しくは第78条第1項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その特許権を放棄することができる。

すなわち、特許権者が専用実施権者に対して「放棄していい?」と申し出ます。それに対して、専用実施権者が「承諾」します。

同意

同意は登場人物が増えます。AとBとの行為を、他の人が認めるというイメージです。

第73条(共有に係る特許権
特許権が共有に係るときは、各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲渡し、又はその持分を目的として質権を設定することができない。

この場合、譲渡した特許権者と、譲受人との間でやり取りが先ずあります。そして、そのやり取りを、他の特許権者が認めるか否かということになります。

特許権者乙と譲受人とのやり取りに対して、もう一人の登場人物である特許権者甲がその行為を認めるかどうかということです。承諾との違いは「当事者」ではないということです。

許諾

許諾は、法律用語として「禁止されているものを解除する」という意味があります。

第78条(通常実施権)
特許権者は、その特許権について他人に通常実施権を許諾することができる。

この場合、特許権が及ぶ範囲の第三者の実施は「禁止」されています。この禁止されている範囲に例外的に風穴を開けるのが「許諾」という行為です。

特許権の範囲で、実施権者は特別に認められる存在となる訳です。この行為を許諾と言います。

「承諾」「同意」「許諾」には、それぞれこのような意味があります。