短答過去問を何回やれば良いですか?

「短答の過去問は何回やれば良いですか?」

かなりの確率で短答受験生から受ける質問の一つです。

さて、短答試験に合格しない人と話をすると「過去問はやってはいるのですが」と相談を受けることがあります。
中には、10回近くやりました!という猛者も実際いらっしゃいます。
残念なことに、10回やったから合格するかというと必ずしも合格するわけではありません。
逆に2〜3回でも合格する人もいます。
前に書きましたように、とある口述組の受験生は、短答試験は受験しませんから今年短答過去問を1回も解いていませんでした。
口述対策ですから、条文と青本との学習が中心です。それでも、短答試験を解いてみたら合格点以上取れたそうです。

過去問を解くことは「条文を理解する手段」であって「目的」ではありません。
例えば、自動車の普通免許の学科試験のように、同じ問題が出るのであれば過去問対策だけで有効です。
しかし、弁理士試験のような試験の場合、全く同じ問題が出ることはまれです。
したがって、過去問を解くことを「目的」にしてしまうと、来年も同じ結果となります。

そうすると今度は「解かなくて良いのでは?」という話になりますが、それはまずいでしょう。
過去問は、弁理士受験生共通の勉強ツールです。自分だけ解かないということは、それだけで大きなハンデとなります。
(競馬で例えるなら、2歳未勝利戦にもかかわらず、いきなり59.5kgのトップハンデになってる状態です)

ついつい「○回解く」と言われた方が安心するので、その回数を消化しようとします。
そうすると、解くことを優先するばかりに、例えば過去問をやりながら条文を引くという作業を省略しがちです。
しかし、弁理士試験は「条文」の試験です。条文から離れたら合格からも遠くなってしまいます。

結果として、条文を理解できるのであれば、1回でも十分な気がします。
ただ、人間1回で覚えられる人はいないでしょう。その確認の意味で2回、3回解くことは意味があると思います。

したがって、冒頭の質問ですが、自分は限界として5回程度ではないかと思います。
それ以上は、逆に作業となってしまい、効率が悪くなってしまう可能性が高いです。
解くなとは言いませんが、6回目以降はかなり効率が落ちているという認識で学習する必要があります。
(知識のメンテナンス、過去問のリズムを使うという意図でそれ以降は利用されるとよろしいかと思います)