気になったこと

Twitterのやり取りから気になったことについて。
このようにこちらからネタも触れるので、つぶやいてもらえるのは有り難いのです。

意4条について

良く質問を受ける内容です。
意4条について、条文で「第3条第1号又は第2号に該当するに至った意匠」と書いてあり、3号がないことから混乱をする人が多い規定の一つです。

この条文の言葉は、単純に「公知に該当するに至った意匠」という意味を条文番号で置き換えているだけです。

4条の適用を受けるのは、公知になった意匠意匠です。
「イ」を公知にしたから、「イ」について公知にしてしまったと適用を受けるのです。
「イ」を公知にしたのに、「ロ」について公知にしました!って・・・あわないですよね?
出願する意匠がイに類似する「ロ」であることはOKです。

4条に書いてあるのは、公知にした意匠のことですから、これは同一の意匠しかあり得ません。

「とんこつラーメン」を公知にしたら、適用を受けるのは「とんこつラーメン」です。
「とんこつラーメン」に類似する(3号)、「しょうゆラーメン」に4条の適用って・・・おかしいです。
もし、4条の対象が「しょうゆラーメン」だと、出願は類似する「醤油味うどん」でもOKになります(4条は拒絶の根拠とならないという意味ですから)

「とんこつラーメン」と「醤油味うどん」はもはや非類似です

と・・・余計解りにくい例の気もしますが、1人位は解ってくれそうなのでそのままで。


無効審判における要旨変更補正について

今日の出題に関して。

そもそも、無効審判において、請求の理由については要旨変更の補正が認められていません。
例外的に「特許権者の同意があった場合」には、要旨変更であっても補正を認めようという趣旨です。
これが、(例外の)原則。
なお、当然細かい要件が更にありますが、まずは何処が一番ポイントかをざっくり条文は押えていくのがポイントです。

そして、特許の場合、訂正請求の制度もあるので、特則的に「訂正があった場合は、要旨変更OK」ということにしています。

したがって、「特許権者が同意した」ということが大切なのです。
この点は、実用新案法、意匠法も同様です。どちらも訂正請求の制度が無いために、その特則を認めていません。

そして今回出題した商標法においては、そもそも要旨変更の補正は認めていません。
理由は・・・ありません。
平成15年改正本では、

「商標法においては、理由証拠の追加を認める必要性があるか否か明確ではなかったため、今回の改正の対象とせず、今後の検討課題とした」(H15 P.74)
「商標法においても無効審判における請求の理由の要旨変更にわたる補正は禁止されているが、現在、同一の商標について異なる無効理由に基づいて繰り返し無効審判が請求されるという事態はほとんど生じていない。そのため、今回の法改正において補正許可の制度を導入することはせず、今後の検討課題とした。」(H15 P.76)

と記載されています。
簡単に言えば「よくわからないから、とりあえず今回は改正しなかったよ」ということです。

色々な考え方がありますが、あまり深追いすることなく、あっさり考えれば十分だと思います。
ただ、考えるときは極力特許庁の見解通り押さえる方が良いと思います。
(このような理由は、試験的な優先順位はかなり下がります)