平成26年論文試験(特許)

とりあえず論文本試験について簡単なコメントをしておきます。

なお、本試験は「正解」が解らない試験です。
受験機関の解答例(レジュメ)であっても、特許庁が用意している正解と同じとは限りません。
また、相対的な成績がつくため、多くの人が書いていない項目であれば、例え論点であっても必ずしも不合格ではありません。
実際、自分が合格した平成14年の特許法は、裁定通常実施権が大きな論点でしたが、一切書きませんでした。

ということで、白紙提出でない以上、論文試験は合格している可能性があると考えて、口述の勉強をして下さい。
「まさか合格してると思わなかった」という受験生が毎年かなりいます。

特許法

国際特許出願に関する問題です。条文をキッチリ拾ってこれるかがポイント。この辺ゼミでは一時期しつこい位課題で出題したところです。条文を拾えたかどうかということになります。

(1)
国内書面+翻訳文+所定の手数料+審査請求とコンボで落としては駄目なところでしょう。何とか書いて欲しい問題です。

(2)
新規性の趣旨は特許法の目的が解っていれば、準備していなくても容易でしょう。また、問題文の条件から2号に該当することは明確に説明して欲しいところです。

(3)
新規性喪失の例外手続について説明すればOK。(1)の手続を総て完了という条件は国際段階における新規性喪失の例外の申立は書かなくて良いという意味。

(4)
査定後分割+審査請求。実務的にも分割後の審査請求は重要なので落とさないで欲しいです。

(5)
仮通常実施権の扱い。論文組は「なんじゃ?」と面食らった可能性がある問題。分割の場合の扱いと、当然対抗が書けていれば十分。


結論としては、条文を拾えたかどうか?という部分が合否を分けそうです。

特許法

まさかインクタンクがまた出ると思いませんでした。
完全に想定外というところ。
ただ、論文受験組には過去問を繰り返しやるように伝えているので、書けたはず?です。1では今回は乙の立場の弁理士として解答する訳です。したがって、否認+抗弁を書きますが、特許の抗弁なんて先使用、104条の3がメイン。
だから、大きな項目は落ちないはずです。細かい論点をいくつ拾えるかどうか。

1(1)
先使用権に関する問題とは直ぐに気がついたでしょう。
ただ、ウォーキングビームの判例の定義を使う必要があります。この辺はしっかり規範→あてはめがベスト。ただ、受験生は書けない人も多いので、現実的には流れがあっていればとりあえず点は付きそうです。

1(2)
靴bには発明イを備えているので否認は難しいでしょう。無効理由がないので、考えられるのは先使用権です。
時間が無いので、落ち着いて検討していませんが、結論としては主張は認められる・認められないの両方考えられる気はします。ただ、どちらにしても同一性の範囲に含まれるか否かの話は必要でしょう。
逆に、その辺の話をせずに、結果だけ書いても、その分点数は下がりそうです。


インクタンク事件です。キーワードを含めつつ記載することが重要です。過去問のレジュメを踏まえて記載すれば点数が付くと思います。


結論としては、あまり点差が付かないのでは?という問題です。
しっかりキーワードを拾えていれば点数は付くでしょう。

追記

コメントを頂戴しましたが、問題2の2については、最終的には丙の立場(被告側)という点を踏まえても消尽論を持ってくる必要はあります。
ただ、単純に消尽論を書くのでは無く、インクタンクのキーワードを使って欲しいです。
書いたときに時間が無く、最後言葉足らずで申し訳ありませんでした。
(ちょっと今週前半は時間が無かったので、割と全体的に言葉足らずです)

追記2

こちらもコメントを頂戴しましたが、言葉足らずで申し訳無いです。
本問の検討は先使用権で、104条の3は検討すべき事項ではありません。
被告側の抗弁の検討事項として、104条の3、79条というのは典型論点(一般論)です。
問題文から104条の3が除外されますので、先使用権について記載できるでしょうという趣旨です。
(各問のところで104条の3については触れていません)