短答枝の考え方

たまたま、宅建の勉強をしている人の本を覗き込んでみました。
過去問をやってみたので、自分もたまたま見た1問を解いて見ました。

平成23年【問34】
 宅地建物取引業法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において、「35条書面」とは、同法第35条の規定に基づく重要事項を記載した書面を、「37条書面」とは、同法第37条の規定に基づく契約の内容を記載した書面をいうものとする。
1 宅地建物取引業者は、抵当権に基づく差押えの登記がされている建物の貸借の媒介をするにあたり、貸主から当該登記について告げられなかった場合でも、35条書面及び37条書面に当該登記について記載しなければならない。
2 宅地建物取引業者は、37条書面の作成を取引主任者でない従業者に行わせることができる。
3 宅地建物取引業者は、その媒介により建物の貸借の契約が成立した場合、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときには、その内容を37条書面に記載しなければならない。
4 37条書面に記名押印する取引主任者は、35条書面に記名押印した取引主任者と必ずしも同じ者である必要はない。

宅建の勉強はしたことがありませんので、内容は全然わかりません。
PCT34条補正なら知っているのですが、35条書面やら37条書面という言葉は聞いた事もありません。

そんな宅建の問題でも「出題者の意図」を考えれば解くことは可能です。
この問題のは「誤っている枝」が問われています。この場合、枝が正しいか否かを考えると解りません。
どうするかというと、出題者の意図に引っかからないようにするために、逆を考えます。
すなわち、各枝が誤っている(それが正解)だとしたらどうなるかを考えると良いわけです。

まず枝2ですが、「〜できる。」問題です。これが誤りだとしたら、正解は「一切できない」くらいの強い否定となります。
そうなると、枝2の行為について、それが何か解りませんが一切例外がないとなるのは少し強すぎる印象を受けます。
したがって、正しい可能性が高そうです。

枝3。「天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるとき」という余計な条件をつけてきています。
これは出題者が「例外的なところを聞きたい」という雰囲気がぷんぷんにおってきます。
とりあえず、本枝も正しい可能性が高そうです。

枝4。「必ずしも」とかなり弱い表現を使っています。
弱い表現を逆にする(誤りとする)と強い表現になります。
それは、「絶対同じじゃないとだめ!」位の規定になります。
そうなると、やはり少し強すぎる印象があります。
ということで、正しい可能性が高そうです。

そして枝1。今度は「〜しなければならない」ですから、誤りだとする(反対を考えるとする)と「しても良いよね」位の弱い規定となります。
仮にこの枝が誤りであれば、何か例外があるよという意味です。
で、問題を見ると「貸主から当該登記について告げられなかった場合でも」という仮定条件が入っています。
書面は解りませんが、「告げられてなかったらできるのか?」って気持ちも働くでしょう。
なので、枝1〜4の中で、最も誤りっぽい枝は1と答えを絞ることができます。

このような解き方は、宅建の解説書とは違う解き方です(解説はポイントが違います。枝1の論点は全然違っています)
しかし、出題者の意図を考えることは極めて重要です。
宅建の問題を持ってきたのは、たまたま自分が解いたというのもあります。
しかし、枝の意味をあまり考えず、出題者の意図だけで考えてもらうには適切な題材だと思いました。

このような考え方だけで弁理士試験が解けるとは言いません。
しかし、本試験では条文の規定を忘れることもあります。
そうなると、短答試験において、○/×を判断するのには、出題者の意図を考えることは、かなり役に立つのです。