原則からの理解

学習をするときは、必ず原則から理解するようにした方が良いです。
どうしても「例外」に目を奪われがちですが、試験勉強であることを考えるとまずは原則からです。

「例外」というのは、特殊な事例であったり、判例であったりします。
例えば、今回このような質問を頂きました。

防護標章で質問させて下さい。審査に3、4条は、適用されないので、非類似の商品で同一の登録商標を使用している権者たちは、互いに、相手の商標を防護標章として登録出来て、差し止め請求も出来てしまう。変な気がします。何処が間違っているのでしょうか?

当該質問については、別途回答しており、割愛しますが、その中で「著名商標が重なる」ということは原則無いことを回答しました。例外があるのですが、そこまで説明する必要は無いと考えました。
それに対して、質問者から以下の質問がきました。

ありがとうございます。例えば、三菱グループ三菱鉛筆、互いに、防護標章を使用しようと思えば出来るけど、しないということでしょうか?

ということで、ほぼ唯一とも言える例外の部分の話になってしまいました。

この2つの商標はかなり特殊です。
一般需要者が三菱鉛筆三菱グループと何ら関係があると思ってしまうような状態なのですが、歴史的な経緯から両者とも認められています。
個人的には、この両者の商標はスーパーウルトラ級例外の状態です。
当然、これを考え出したら混乱します。
この辺の考え方がきっちり説明できるのであれば、商標についてはほぼ合格レベルでしょう。例外は例外で割切る必要があります。

質問者をたまたま一例であげさせて頂きましたが・・・そもそも、防護標章はかなり難しい規定です。
防護標章が何故必要なのか?というところからして答えられない受験生も多いのです。
その割には試験的には、2条、3条、4条から比べれば重要度は低いでしょう。
また、先使用、不使用・・・それより重要な規定は沢山あります。

資格試験に合格するところを考えれば、試験で問われるところから優先的に学習する方が効果が高いです。
ご質問頂ければ、「そこは今はやらなくて良い」「解らないことは今は問題無い」「その部分は理解しましょう」とお伝え出来るのが大きなメリットです。


さて、短答解法講座でも、防護標章についてはよく質問を受けます。
防護標章が解らない人は、そもそも「禁止権」の意味が理解出来ていません。
「禁止権が理解できている」のであれば、逆に防護標章も解るはずなのです。
確かに規定は「知っている」のかも知れません。
しかし「理解している」こととは違うことが多いのです。

レジュメやテキストは問われ方がいつも同じですので結構答えられます。
想定された問題に対して、受験生は回答するのは得意です。
それは規定を知っているからです。
しかし、少しイレギュラーな聞き方をすると、途端に答えに詰まります。
自分は基本そういう変化球で質問することが多いです。
商標権、ちょっと勉強して解るほど甘い世界では有りません。
1年、2年・・・結構時間かかります。
「理解する」ことを意識していないと、何年経っても同じです。
単純に「知っている規定」「暗記している規定」が増えるだけです。

「知っている」から「理解している」状態に一つでもして頂ければと思います。