複数請求された無効審判について

例えば、請求項1、請求項2からなる特許権について、請求項1について無効審判Aが請求されたとします。
そして、別のものから請求項2について無効審判Bが請求されたとします。

この場合、どうなるかということですが、特許庁の資料に回答があります。

複数の無効審判でも当事者が相互に関連した請求であれば、これを併合して審理することにより、審理の重複を省き、審理手続を効率化するとともに、審決相互の矛盾抵触を防ぐことができるので、審理の併合の要件を満たせば併合して審理されます。

原則併合して審理されます。
ただ、併合できない場合があります。この場合は、一つの審理が中止になります。そうでないと、確かに訂正の請求とかで矛盾が生じる場合があるからです。

無効審判における審理の併合の要件を満たしていないときは、併合して審理を行うことができないため、他の無効審判の審理を中止して(特168条第1項)、訂正請求がなされた無効審判の結論を待つ場合もあります。
訂正請求がなされた無効審判が特許無効審決として確定した場合は、その他の無効審判は訴えの利益がなくなり、却下の審決がなされます。

なお、審決取消訴訟が提起されているときに、別の無効審判が請求される場面は、審判便覧に記載があります。

審決取消訴訟が無効審決に対して提起されている場合
原則として、新たに提起された無効審判の審理を、取消訴訟の判決確定まで中止し、特168条第1項(120条の6)に基づく中止の通知をする。
これにより、後続の事件で新たな訂正請求が提出されたり、後続の事件で訂正が先に確定して優先審理の事件の審理が無駄になったり、裁判所と特許庁の判断が食い違う等の事件の複雑化を避けることができる。また、無効審決が確定すれば、新たな無効審判の実質審理を要しない。

この辺は矛盾が生じないように制度は出来ています(この辺を考えるときは、「どうなるんだろう」という気持ちとともに、「こうした方が良いよね。」というまずはご自身の判断が重要となります。