口述試験での条文問題

口述において「条文」を解答するのには、実は積極的な場合と、消極的な場合とがあるのはご存じでしょうか?
「積極的」に条文が聞かれている場合は、それなりの正確性が要求されます。
「消極的」に条文が聞かれている場合は、キーワードさえ拾えていれば十分です。

積極的に聞かれている場合

積極的に聞かれている場合は、本当に「問題」として出題された場合です。
おそらく、多くの受験生が「条文問題」というと、これを想定しています。

過去問集で、唐突に
「○の規定は法上どのように規定されていますか。」
「×条を条文通りにお答え下さい。」
という場合がこれに該当し、条文が出題されています。
したがって、ある程度の正確性が要求されます。

ただ、正直この聞き方はそれほど多くありません。
さらに、問われる条文も定義規定といった誰もが答えられる内容が殆どです。
(実際過去問集をみるとそう多くはありません)

消極的に聞かれている場合

次に消極的に聞かれている場合があります。すなわち、
「条文通りでなくて本当は良いけど、とりあえず条文で答えてもらおう。」
という場合です。

典型的なのが、受験生から「キーワード」が出ない場合です。
問題に対して、解答のキーワードを含めて解答して欲しいのです。
しかし、いくら言い直してもらってもキーワードが出ない。
とくに、そのキーワードが次の問題に係る場合は更に厄介です。

Q:特許出願の分割はいつ認められますが?
A:補正の出来る期間です。
Q:他にありますか?
A:特許査定後30日以内、拒絶査定後3月以内です。
Q:本当ですか?
A:うーん・・・44条1項に規定されている期間です。
Q:・・・。では、条文通り答えて下さい。

このとき、次の問題が、

Q:今、最初の拒絶査定謄本とおっしゃいましたが、最初とはどういう意味ですか?

であった場合、上述した解答では次の問題に進めない訳です。

試験官としては厳密な文言を最初は要求していません。
しかし、次の質問を考えると、「最初の」は絶対に出してもらいたいフレーズです。
確実に答えてもらうためには「条文通りに答えて下さい」というのは出題者からみると安全なのです。

逆に1号の要件は上記の例ではスルーしています。
しかし、仮に次の問題が

Q:分割可能な時期が「補正のできる時又は期間と言いましたが、ここで時とは・・・」

という問題なら、やはり先程の解答ではダメでしょう。
今度は「最初の」という要件の重要度が下がるのです。

条文の文言を正しく答えることは重要です。
条文の理解は絶対必要です。
しかし、必ずしも全ての問題が「てにをは」レベルまで要求されている訳ではありません。
勉強はキッチリして欲しいですが、本番当日はあまり緊張しないことが大切です。

例外

なお、もう一つ例外として口述練習会・口述模試での「条文要求問題」があります。
これは出題者があまり意識せずに「条文を言わせれば良いだろう」と考えた場合です。
問題つくるの楽ですからね・・・
なので、過去問で問われていない条文であれば、あまり気にすることも無いと思います。
(過去問優先です)