条文の文言

自分のゼミ生の有志に対しては短答のオリジナル問題をちょこちょこ出してやってもらっています。

このとき、「条文の細かい部分」を出題している問題もあります。以下の問題は「○」「×」どちらでしょう?

最初の拒絶理由通知を受けた場合において、特許法第50条の規定により指定された期間内にする特許請求の範囲の補正は、いわゆる新規事項の追加するものでなく、かつ、補正前の発明と、補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが、第37条の発明の単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものとなるようにしなければならない。

17条の2第4項の問題です。

この問題、回答してくれた人はほぼ「○」答えます。根拠は「17条の2第4項の条文通り」と答えます。
そして、見直してもらっても、ずっと気がつかないことが多いです。
(帰れません形式なので、回答者はこれが正答か誤答か解らないで見直しをしています)。

条文をよく読むと「その補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについて判断が示された発明」であることが記載されています。したがって、補正前全ての発明が対象となっている訳ではありません。
条文の言葉としては細かいのですが、受験生は意外に条文を読み落とします。
そして、こういう問題が出ると「条文間違えた!」「覚えよう」としますが、それはナンセンスです。

ここを聞いたのは、そもそも4項は、審査官の審査の負担を軽減するための規定です。
したがって、新規性・進歩性等の特許要件が判断された発明を活かしましょうというものです。
だからこそ、この文言は必要なのです。そして、このことはわざわざ青本(P.51)にも書いてあります。

短答試験の勉強をしていると、時々文言の違い「特許庁長官」「審判長」の違い見たいな細かい問題が出てきます。
細かいことが出過ぎて、全体が見えなくなってしまいます。

しかし、問われている箇所は意味があることが多いのです。
出題者は言葉遊びで問題を作っていないのです(条約とかちょっと微妙ですが)。

受験生は、条文を読むときどうしても、意識しないので読み飛ばしてしまいます。
その辺を確認するには、問題形式で聞かれるのが一番だとは思います。