公知意匠について

公知意匠についての質問があったのでお答えします。

全体意匠と部分意匠とですが、3条1項3号の対象になりますか?物品非類似ということで単純に非対象と考えて問題ないでしょうか?

自分の講義で話している内容として、意匠法において引例となる意匠が「出願意匠」か「公知意匠」かをしっかり見極める必要が有ります。

公知意匠の場合、出願した意匠の内容が開示されているか(公知となっているか)否かとなります。

例えば、引例となる意匠が「カメラ」であっても、カメラ本体、カメラ用レンズ、フラッシュ等の形状が明らかであれば「公知」となります。
したがって、出願する意匠がカメラ用レンズの部品意匠であっても、グリップ部分だけの部分意匠であっても、3条1項に該当します。
物品非類似であれば確かに適用はしませんが、そもそも引例となる意匠の物品を「カメラ」と捉えるか「レンズ」と捉えるかは、どちらでも良いことになります。

しかし、出願意匠の場合は、先願が「カメラ」(全体意匠)であって、後願が部品意匠、部分意匠であれば適用がありません。
これは9条が「権利の重複」を阻止する条文ですから、先願と権利が重複しないものは非該当となるからです。

この辺は各条文の趣旨をしっかり理解しており、先願意匠がどういうものかを把握すれば整理が出来るところです。