やりたいことをやる

色々と受験生と話をしていて、中々成績が伸びないタイプの一つに「やりたいことをやる人」がいます。

例えば、「解らないことを解るまでしっかり理解しよう」というスタンスの人です。
「解らないことを解るようにする」のは当然で大切なことです。
しかし、これには前提があり、「試験に出る範囲内において」なのです。

この前提を無視して、つい「自分が解らないことを突き詰める」というスタンスだと、勉強しても成績が上がらない状態となります。
ただ、この感覚を治すのはかなり難しいです。
まず自己否定しなければならないからです。
これがちょっと大変です。

ただ、短期合格する人はこの感覚が鋭いです。
疑問に思っても試験に出ないと思えばあっという間に転進します。
質問についても「これで答え出せるな」ってレベルで納得しています。

この感覚は勉強法だけに限らず、例えば論文試験も同じです。
論文試験は「書きたいことを書く」という試験では有りません。
出題者が望んでいることを書く試験です。

例えば、問題文を読んで「先使用権」が論点だと思って記載したが、回答は「無効審判」が論点だった場合。
「そっか!無効審判忘れた!」ってあっさり考えられる人が合格するパターンです。
ここで、「いやいや、無効審判というより、先使用権だって書けるじゃないか!だって・・・」ってなる人が中々受からないパターンです。
論文試験も試験ですから、受験生がどう判断したかということではないのです。
なお、自分の場合、こういう場合は両方書けと言っています。


この「問われていること」を答えるというのは弁理士としても重要だと思います。
発明者が「A方式」といっているのであれば、「A方式」の方針で進めるべきです。
ときどき、「いや、A方式というよりB方式です!」って言う人がいるのですが、それは代理人としてどうかと思います。
ちなみに、自分の場合は「ではA方式でいきましょう。ただ、バリエーション広げるためB方式も記載しておきました」としています。

結局、いつも伝えている「答案で広めに論点を書け」というのは、実施形態を広く捉えるという実務に直結する話だと思っています。
そうなると、論文を書くときの視点って・・・って話になるのですが、それは又の機会に。