その責めに帰することができない理由と正当理由

以下のような質問がありました。今回の質問に限られず、割と良くある質問です。

責めに帰する理由と正当理由の違いがよく分かりません。どういう場合に責めに帰する理由になるんでしょうか?

いつも伝えていることですが、皆さんのバイブルは「青本」になります。
したがって、「青本」をしっかり読むことが大切です。
青本って何でも書いてある!」って気がつけば、最終合格レベルと主観的には感じています。

例えば、上記質問ですが、青本にはしっかり記載があります。

正当な理由(P.130)
PLT12条(1)の「DueCare」に相当するものであり、特許法121条(拒絶査定不服審判)等に規定された「その責めに帰することができない理由」より広い概念を意味するものである。例えば、出願人が病気で入院したことにより手続期間を徒過した場合や出願人の使用していた期間管理システムのプログラムに出願人が発見不可能な不備があったことにより手続期間を徒過した場合等が「正当な理由」があるときにあたる可能性が高いと言えよう。

その責めに帰することができない理由(P.352)
天災地変のような客観的な理由にもとづいて手続をすることができない場合が含まれるのはいうまでもないこととして、通常の注意力を有する当事者が通常期待される注意を尽くしても、なお納付期間を徒過せざるを得なかったような場合は、主観的な理由による場合であってもその責めに帰することができない場合に含まれよう。

入門生であれば、「よくわからない」ということはありますし、理解できます。
(1年目で青本を読みこなすのはかなり難しいです)

しかし、2年目以降の受験生であれば、やはり「青本」をしっかり読みこなして欲しいとは思うのです。
解らなければまずは「青本」というスタンスは極めて重要です。
そして、青本以上の知識は原則として不要です。

また、よくある質問として「「正答理由」と「責めに帰することが出来ない理由」のどちらが緩やかか?」があります。
この質問も上記記載から明らかな訳です。

なお、この点については、他の箇所にも記載があります。

しかし、「その責めに帰することができない理由」という回復の要件は、民事訴訟法の追完の規定(民事訴訟法97条1項)に倣って極めて厳格に解されており、平成6年の本規定導入後、これまでに同条の規定により特許権の回復が認められた事例は皆無であった。また、国際調和の観点から、我が国の救済は実態において厳格すぎるとの指摘を受けており、このような世界的なすう勢に鑑みて、救済の要件を緩和する必要があった。そこで、平成23年の一部改正において、本項の特許料の追納期間徒過の救済手続をPLT12条(権利の回復)に整合した制度とするため、救済を認める要件について「その責めに帰することができない理由」を緩和して「正当な理由」とし、また、救済手続による納付が可能な期間を拡大して「その理由がなくなつた日から2月以内でその期間の経過後一年以内」とした。(青本P.345)

青本は条文の規定を理解する上で重要です。
また、試験では青本の規定が解っていないと不正解となる場合もあります。

多くの受験生は、中々青本は解らないと思います。
1〜2回読んでもよくわからないでしょう。ただ、最終的な回答は青本にあることも多いのです。

普段の学習で少し青本を意識するような学習を進めていくと、色々なことが見えてくると思います。