意3条2項かっこ書き、商4条1項19号かっこ書き

質問を受けたので回答します。

意3条1項3号と2項とが同時に適用されたり、商4条1項10号と19号とが同時に適用される場合があるかということについてです。

かっこ書きがある規定は、条文通り両方の条文が適用されることは有りません。
例えば、意匠法であれば、3条1項各号に該当する意匠は、3条2項は適用されません。
この点は審査基準にも書いてあります。

23.8 意匠法第3条第1項各号との適用関係
意匠法第3条第2項は、「(前項各号に掲げるものを除く。)」と規定していることから、意匠法第3条第2項の規定は、意匠登録出願に係る意匠が、ある公然知られた意匠に対して意匠法第3条第1項各号に規定する意匠に該当しない場合に限り適用する。

商標法4条1項15号、19号においても同様で、例えば4条1項10号に該当する商標であれば、4条1項15号、19号には該当しません。

無効審判(訴訟)の場面

条文通りはその通りですから、審査においてもそのような規定となっています。
すなわち、特許庁や裁判所が最終判断するのであればその通りです。

しかし、無効審判や、権利侵害の場面で請求人が侵害する場合は、当然異なります。
結論が出るわけですから、当然複数主張することになります。
例えば、商標法において、登録商標にたいして「未登録周知商標と類似だから、10号に該当する」と主張します。
しかし、10号一点突破を狙うと言うことはありません。
したがって、併せて「混同を生じる場合は15号に該当する」と併せて主張します。
これは、「主張する立場」の人は、本当に10号に該当するか否かが分からないためです。
正確に書けば、「仮に未登録商標と非類似であって、10号が適用されない場合であっても、混同を生じるのであれば15号に該当し」のような記載になると思います。

意匠法も同様で、3条1項3号に該当することが明確であれば、3条2項には該当しません。
しかし、その判断は最終的に特許庁であり、裁判所です。
最終判断が出るまで、分かりませんので、複数の理由を主張すること自体は問題が有りません。
(ただ、意匠の場合は登録意匠Xと、公知意匠Yとの関係で、3条1項3号と、3条2項とが両方主張出来る場面はかなり例外だと思います)

無効審判や侵害訴訟は基本的に請求人・原告が主張したことが判断されます。
したがって、それぞれ可能性があるものは全て主張する、従ってレジュメも全て記載することになります。
(ただ、それは主張しただけであって、結論がどうなるかは別の話です)