「なんでもできます」は何にもできない

ときどき、WEBとか見ていると「何でもできます!」というのを全面に出しているところがあります。
別に特許事務所に限らないお話です。
自分が思うのは、「何でもできる」は、結局何もできないのではないかなと思ってしまいます。

例えば弁理士であれば、確かに試験で一通り勉強していますので、知識はあります。
しかし、知識がある=仕事ができるとはならないはずです。
毎日特許の仕事をしていれば、やはり商標の知識はあっても、プロとして仕事ができるかは別です。
当然、自己研鑽されている弁理士さんもいるとは思います。
ただ、普段使う知識が優先されますので、全部は追えないのが現実だと思います。


普通、弁理士試験に合格するまでは勉強をキッチリします。
四法だけでなく、著作権法不正競争防止法の勉強もするでしょう。
更に最近はPCTやTRIPsといった条約の勉強もキッチリします。

しかし、それは「合格まで」です。
合格すると、今度は仕事が待っています。
審査基準、外国特許法、やることは山盛りです。
そうなると、試験で得られた知識は、合格時点がピークであり、そこから知識が蒸発していきます。
合格後に試験科目の知識を補充し続けているのは、受験機関の講師位です。

これは、仕事が忙しいことと、使わない知識は補充しても面白くないからかも知れません。
自分も弁理士会の研修に行っても、業務で使う知識と、講義で使えそうな知識は真剣に聴いています。
ただ、どちらでも使えないとなると、どうしてもモチベーションは維持出来ません。

なので、一部の熱心な人を除いて、多くの人は「実務以外の知識」は、合格時点の知識が上限となることが多いです。
そう考えると、受験生時代の勉強は極めて重要です。
これから、10年、20年と弁理士を続けていくとき、仕事で使う以外の知識は受験生時代がベースとなるからです。

意匠、商標の勉強や、条約の勉強はつまらないと感じる人もいると思います。
短答試験で細かくて泣きたくなることもあると思います。
しかし、この勉強が今後の人生の礎となる!位の気持ちでやれば・・・少しは楽になるかも知れません。