マドプロの代替申請書

今週のゼミの答案(マドプロ)を採点していたときに、ある受講生が書いていた「代替申請書」に手が止まりました。
お恥ずかしい話、この手続を聞いた事が無かったのです。
何年実務をやっていても、講師やっていても知らないことは出てくるものです。

商標法68条の10の代替は、基本的には「出願日」の取扱いについての記載でレジュメやテキストは終わります。
条文上も「みなす規定」ですから、代替についてわざわざ手続を取るのか?と言われると、分かりませんでした。
(試験で問われないため、そこまで掘り下げたことがありませんでした)

まず、条文、青本、改正本には記載がありません。
受験生であればこのレベルに記載がなければ、とりあえず勉強には影響が無い項目になります。

しかし、自分の場合は受講生が書いているからには流すこともできず調べる必要があります。
その次に重要な審査基準、審査便覧にも記載無し。様式なので施行規則になりますが、こちらも全部見たけど様式なし。
特許庁のマドプロの説明会資料、商標の基本書、登録の手引き等も確認したのですが、見つけることが出来ないのです。

確かに、マドプロ4条の2、第21規則で、名義人により、申請は出来る話はあります。
しかし、具体的に日本の特許庁経由でどうするのかの話が全然無くて、これは困ったなという状態でした。

お手上げかと思いきや、最後の頼みであった発明協会の「マドリッドプロトコル実務の手引き」に記載がありました。

原則として、代替については、国内においては特許庁の職権により登録され、国際事務局には通報されないとのこと。
しかし、名義人がマドプロ4条の2(2)に基づいて、特許庁に対して代替の旨を記録することを申請して認められた場合には、特許庁は国際事務局に通報します。国際事務局は、通報の表示を国際登録簿に記録し、名義人にその旨を通報するのです。

このとき、名義人が日本の特許庁に代替の旨を記録することを申請するときに提出する処理が「代替申請書」です。
で、この代替申請書は特定の書式がないらしく、国際登録番号等を記載した書面を提出すれば良いとのこと。
代替申請書が決められた書式でなければ、それは探しても出てこないですね。

ということで、通常はこの手続は不要なので、よくあるレジュメの記載で十分ということが分かりました。
なお、68条の10が適用された国際商標公報には「【特例国際商標権(商標法第68条の10適用】【重複国内商標権に係る登録番号】」が記載されます。

滅多に出ない話なので、多分自分としても忘れそうなので、ブログに記載を残しておきました。


受験生も、本当によく知っているなと、ちょっと感心しました。