質問について

質問があったのでお答えします。
今回の質問がと言う訳ではないんですが、受験生ではよくありがちな質問です。

高速バレル事件では、特許庁は2回目の審決で別の文献を引用して判断すべきではなかったとういことはできませんか?

判例問題は「○○すれば良かったのでは?」という事案は、割と有ります。
そして、実際勉強していると、そう感じると思います。
ただ、色々な事情があり、そうしなかった場合の事案になっているとお考え下さい。

高速旋回式バレル研磨法事件についても、文献の取扱いについては本問特有の事情は実はあります。
細かすぎて、その辺までは講座で伝えることも少ないです。
中々受験生としては、そこまで読み取るのは難しいと思います(試験範囲からも外れます)

そして、ご指摘の内容は間違えでは無いと思います。
ただ、少し詳しく話しますと、特許庁としては、拘束される以上、そう判断してしまうのが通常です(そのまま、問題無しと判断すると思います)
当然別の文献をサーチしてというのも考えられますが、やはり1回目の拒絶審決時に、実際は文献は調べ尽くしているのが原則です。
(なかなか、後出しで見つかる訳ではありません)

なお、本事案での論点は、特許庁がどうしたかというより、裁判所の判断になります。

高速旋回式バレル研磨法事件は、かなり難しい判例のため、「何でだ?」と思ってしまうのはやむを得ないと思います。
なので、まずは軽く流すというのも一つの方法だと思います。
なお、今回とは違いますが、ときどき制度に関する質問で「XXと規定べきじゃないか?」という質問もあります。
しかし、受験生であることを考えると、まずは事案のときにどう考えるかを理解することが試験対策としては重要であるとお考え下さい。
(合格後に色々考えて頂くのはよろしいかと思います)

102条1項で「控除する数量」が権者側の数字と事情になっているのに違和感があります。文脈的には、侵害者側の数字と事情のように思われるのですが?(動画での先生にご説明も、後者の話のように聞こえるのです)。いずれの側の立場に立っても、実質的に差異は少ないということ?

質問の意図が明確に読み取れていませんが(申し訳ありません)
102条の除外するべきものは、「超えない限度」と、「但書の規定」があります。
そして、おそらく質問されているところは「超えない限度」ですので、権利者側の事情となります。
そもそも、侵害者側の事情があるのであれば、当然実施出来ないはずです。

例えば、侵害者が100万個作ってしまったけど、権利者は1万個しか作れないという場合です(生産能力等によるものです)
もし102条1項の規定通り認めてしまうと、権利者が製造するより、侵害者が製造した方が儲かった!というおかしな事情となります。
なので、権利者が1万個しか作れないのであれば、1万個までしか認めないと言うことになります。

侵害者の事情といっても、侵害者が作れない(販売出来ない)事情がるのであれば、そもそも譲渡数量が少なくなっているはずです。
そこから、控除する必要は無いと思います。

違和感を感じられたとのことですが、やはり入門ではじめたばかりですので、解らないことはたくさんあると思います。
違和感を感じるということは、何らかの理解が違っている可能性が高いと思います。
(ただ、そうで無い場合もありますので厄介なところですが・・・)

自分としては、上記説明をしているつもりですが、侵害者側の事情ときこえてしまっているのであれば、申し訳ありません。
(生産能力の話をしているはずですので、侵害者側に問題がある説明にはなっていないはずなのです)

勉強をはじめていくと色々手探りで「何なんだ?」って思うことは多々あると思います。
そして、そういう疑問が生まれ、消えていくことがとても大切です。
最初から全部つぶして行くのはかなり難しいと思いますので、解るところを少しずつ増やしていく、繰り返しの学習を心がけて頂けるとよろしいかと思います。

例えそれが正しかったかどうか別としても、「疑問」を感じる事はとても良いと思います。