質問について

頂戴していた質問があったのでお答えします。

H28-36-2について。
使用をする権利と通常実施権の違いがよくわからず、間違えます。34条に規定がないから、と何度か書いてますが覚えられません。条文通りに覚えるしかないでしょうか?

特許法、実用新案法、意匠法では、先使用権=(法定)通常実施権の扱いです。
区別していない場合は、他の通常実施権と同様のあつかいになります。
したがって、質権も設定可能です。
(違和感はあります)


それに対して、商標法では、先使用権=使用をする権利です。
これは、通常使用権は禁止権の範囲では認められないからです。
例えば、商標権Aの商標aに類似する商標a1に使用している場合、商標権Aの通常使用権とするとa1は積極的に認められません。
なので、a1をそのまま使ってよい=使用をする権利になります。

通常使用権でない以上、通常使用権の規定は使えず、32条に書いている範囲でしかできません。
したがって、質権の設定もできません。

H28-30-2とH28-30-4について。なぜ「プログラムの発明」との間では抵触が起きて、「電気炊飯器に組み込まれた制御回路」との間では抵触が起きないのかよくわかりません。

28-30-2ですが、これは「画面意匠」に関するものです。
そして、通常、スマートフォンやコンピュータで見ている画面(ユーザインタフェース)はプログラムによって描画されています。
したがってプログラムを実行すると、画面が描画される=意匠として現れることがあります。
したがって抵触する場合があります。

28-30-4ですが、抵触するとすれば「電気炊飯器の外観」の発明です。
意匠で外観が同じになったからと言って、中身のプログラム(制御回路と同義です)まで使う意味はありません。
したがって、その「外観」の炊飯器を作るために、わざわざ特許発明の方法のプログラムで制御する必要はありません。
意匠はあくまで外観を実施出来れば十分だからです。