オキサリプラチン事件

知財高裁の大合議で一つ判例が出ました。
存続期間の延長絡みの判例なので、試験に出るか?と言われると、当該判例自体の可能性は高くないと思っています。
勝手に予想をすると、出題可能性としては20%未満かな。
ただ、存続期間の延長については、最近出題が無いこと、審査基準が変わったり、判例がいくつか出たりしているので、出題可能性は高いと思っています。
80%位(根拠はありません)

存続期間が延長された特許権の効力は、「成分,分量,用法,用量,効能及び効果」によって特定された物で判断されます。
そして、

これと医薬品として実質同一なものにも及び,政令処分で定められた上記構成中に対象製品と異なる部分が存する場合であっても,当該部分が僅かな差異又は全体的にみて形式的な差異にすぎないときは,対象製品は,医薬品として政令処分の対象となった物と実質同一なものに含まれ,存続期間が延長された特許権の効力の及ぶ範囲に属する。

と示された訳です。簡単に言えば、差異があったとしても、実質同一の場合は権利が及ぶということです。
ただ、この場合であっても、

延長登録出願の手続において,延長登録された特許権の効力範囲から意識的に除外されたものに当たるなどの特段の事情がある場合には,特許法68条の2の実質同一が認められることはない。

と、包袋禁反言の場合は除外されますよってことも示されました。

細かいことまでは出題されにくく、他の受験生も書けないと思われるので、このレベルを押さえておけば十分だと思います。

あと、判決要旨の中で1つ面白い記載があったので紹介しておきます。

法68条の2の実質同一の範囲を定める場合には,最高裁平成10年2月24日第三小法廷判決(民集52巻1号113頁・ボールスプライン事件最判)が定める均等の五つの要件を適用ないし類推適用することはできない

ということで、存続期間が延長された場合については、均等論で判断しませんよってことです。

最高裁の判断ではないので、今後どうなるか解りませんが、とりあえずということで記載しておきます。