日南市

日南市の市長がLINEを誤送信してしまったということで、なんだか盛り上がっておりました。
その話をしたいわけではなく、日南市といえば、業界では3本の指に入る位有名な市だと思います(勝手な話です)

それは、日南市のマークが、4条1項6号の著名性に該当するか否かが争われた事例があるからです。
(平成24.10.30 東京高判/平成24(行ケ)10125)

このとき、裁判所は「著名性はない」と判断しました。

日南市章は昭和25年12月20日に旧日南市の市章として制定され,日南市もこれを継承していること,日南市章は,日南市を表示するものとして同市の公共施設,ホームページ,広報用パネル,マンホールの蓋などに使用され,大きなイベントの際には,メインとなる舞台や調印式などの背景に日南市章が赤色で表示された日南市旗が掲げられていること,これらのイベント等を報じる新聞記事やテレビ放送には,背景等に日南市章が写ることも多く,また,日南市の観光や物産を紹介する書籍,ホームページにも,日南市の名称とともに日南市章が掲載されることがあること,が認められる。
しかしながら,日南市章が,日南市の公共施設やホームページ等に表示されたからといって,本願商標の指定商品の取引者,需要者が一般に目にするとは認められない。また,イベント等を報じる新聞記事の写真,テレビ放送等に写る日南市章は,背景として小さく写り込んでいるにすぎず,目立つものとは認められない。そして,日南市の観光や物産を紹介する書籍,ホームページも,本願商標の指定商品の取引者,需要者が一般に目にするとは認められない。
被告は,本願商標の指定商品に含まれる商品「マンホール」の蓋は自治体の章が刻印されることが少なくなく,公共工事に用いられる建材を提供する事業者は県章や市章等に相当程度注意を払っているという取引の実情が存在すると主張する。しかしながら,マンホールの蓋を扱う取引者,需要者の数は明らかではなく,本願商標の指定商品の取引者,需要者のうちのどの程度を占めるのかは不明というほかない。
したがって,被告の主張する上記取引の実情を考慮しても,上記認定の事実から,審決時に,日南市章が本願商標の指定商品「建築用又は構築用の金属製専用材料,金属製建具,金属製建造物組立てセット」,「セメント及びその製品,木材,石材,建築用ガラス」及び「清掃用具及び洗濯用具」に係る一商圏以上の範囲の取引者,需要者に広く認識されていたと認めることは,困難である。

この事件以降、商標の本には多数掲載されたので、少なくとも知財関係者が需要者とする範囲では著名になった気がします。

ということで、全く関係無いのですが、日南市と言われると、4条1項6号を思い出してしまいます。