情報提供制度

質問というわけではないのですが、今週の答案を見ていて気になったので回答しておきます。

情報提供制度とは、特許庁に係属している特許出願に対して、当該特許出願に係る発明が新規性・進歩性を有していないことなどについての情報を提供することができる制度のことを言います(特施規13条の2)。
ここで、拒絶理由について、総て情報提供が出来る訳でなく、出来るものが限られています。

情報提供の対象となる拒絶・無効理由(提供できる情報)

  • 第17条の2第3項(新規事項追加)
  • 第29条第1項柱書(非発明又は産業上利用可能性の欠如)
  • 第29条第1項(新規性欠如)
  • 第29条第2項(進歩性欠如)
  • 第29条の2(拡大先願)
  • 第39条第1項から第4項(先願)
  • 第36条第4項第1号(明細書の記載要件違反)
  • 第36条第4項第2号(先行技術文献情報開示要件違反)
  • 第36条第6項第1号から第3号(特許請求の範囲の記載要件違反)
  • 第36条の2第2項(原文新規事項追加)

すなわち、拒絶理由のうち、第 17条の2第4項(発明の特別な技術的特徴を変更する補正)、第25条(権利の享有)、第32条公序良俗)、第36条第6項第4号(請求項の記載形式)、第37条(単一性)、第38条(共同出願人)、第49条第3号(条約違反)、第49条第7号(冒認)並びに外国語書面出願及び外国語特許出願等に係る第17条の2第3項(第184 条の12第2項で読み替える場合及び184条の20第6項で準用する場合を含む)の翻訳文新規事項に関しては、情報提供をすることができません。

なので、論文問題における冒認出願等の事例で「情報提供をする」と記載すると間違いになるので、気をつけて下さい。