質問について(2つ)

質問があったのでお答えします。

質問1

質問させて下さい。過去問H14-47-3 「経産大臣」は、請求を棄却する旨の裁定をしようとする場合であっても審議会の意見を聴かなければならない。
→特85条は「長官は」となっていますが、「経産大臣は」で○となるのは何故でしょうか?

当該問題は以下の内容です。

[14-47-3]特許法第93条第2項(公共の利益のための通常実施権の設定の裁定)に規定する裁定に関しては、経済産業大臣は、通常実施権を設定すべき旨の裁定をしようとする場合のみならず、請求を棄却する旨の裁定をしようとする場合であっても、工業所有権審議会の意見を聴かなければならない。

本問ですが、これ問では特85条にも記載していますが、正確には特93条3項の問題となります(93条にも問題が掲載されていると思います)
すなわち、「93条」の裁定通常実施権の問題となりますが、93条の裁定通常実施権の請求先は経済産業大臣となります。
したがって、93条3項において準用している条文も総て主体は「特許庁長官」ではなく、「経済産業大臣」となります。

準用は「いい感じに読み替える」必要があります。
そして、「いい感じに読み替えられない」場合には、読替準用となります。

例えば、意匠法15条で特許法38条を準用しています。
そのまま条文を当てはめれば、特38条は「特許出願を~」ってなっています。
これをみんな勝手に「意匠登録出願を~」って読み替えています。
準用とはこういう「いい感じ」に読み替えることが必要です。

質問2

今さらですが補正の質問です。
最初の拒理通後は17の2③&④の制限→と思って[H27-51-3]を×にしたのですが…。
外書の場合は4項の制限はかからず?「明細書等」とあるので請求項ではないから、と解釈?
題意が単に補正のできる範囲をきいている?「認められない」けど補正は可能ということでしょうか?

当該問題は以下の内容です。

[27-51-3]特許出願が外国語書面出願である場合、その特許出願人は、最初の拒絶理由通知を受ける前及び最初の拒絶理由通知において指定された期間内のいずれにおいても、外国語書面の翻訳文に記載した事項の範囲内であれば、明細書等の補正をすることができる。

本問は、「弁理士としてどう答えるのかが妥当か?」を考える必要はあります。
本問を「×」にすると、明細書等の補正ができないという結論になります。
そうすると、「どの範囲でできるのか?」が解らなくなります。
したがって、原則通り「新規事項に該当しない範囲」として、補正ができるということになります。
なお、本問が「外国語書面の翻訳文に記載した事項の範囲内であっても、特許請求の範囲等の補正をすることができない場合がある。」となれば、4項違反を検討する必要があります。

この手はよく引っかかるのですが、「×」にして問題があるかどうかまで検討する必要があるパターンの問題です。