口述試験で問われていること

先週末の口述試験について、ゼミ生が再現を書いてくれていたので拝読。
ありがとうございました。

今年はどの問題もパネル問題で、かなり大変だったようです。
ただ、試験問題を見ていると、今までのような「知識の確認」というより、「弁理士としてどう答えるべきか」がより重視されていると思います。

例えば、意匠法2日目では、パネルに図が2つあって「どちらかの図を使用してクライアントに対して解りやすく説明」することを要求する問題です。
試験委員を「依頼者」だと思って説明して欲しいというものでした。

その他のパネルでも、今までと比べると極めて具体的な事例問題で、パッと見ただけでは整理できないものです。
合格後のことを考えると、クライアントからは更に複雑なことを言われます。
よく、自分も講義で「具体的な事案を考え欲しい」と伝えています。
そして、受験生であっても、「弁理士だったらどう考えるか?」を意識して欲しいという話をしています。
口述試験だけでなく、論文試験でも有効な考え方だと思います。

週末からLゼミも始まります。
今年もその点を意識していきたいと思います。


なお、商標法ですが、1日目の題材は「ブラザー用」とインクリボンの包装箱に書いていた判例がベースだと思います。

当裁判所は,被告標章は,商品を特定する機能ないし出所を表示する機能を果たす態様で用いられていないので,商標として使用されていないと判断する。
その理由は,以下のとおりである。
ア 被告製品の外箱の長方形の面のうちの2面の中央部のもっとも目立つ位置には,被告製品の普通名称である「インクリボン」の表示や,被告製品の用途を示す「普通紙FAX用」との表示が,いずれも消費者の目を引く白抜きで,その他の文字とよりも大きく記載されている。また,他の長方形の面においても,被告製品の取付方法が図示されていたり,インクリボン交換時の注意の記載があるなど,被告製品の種類,用途を表す記載がされている。
イ これに対し,被告標章は,前記アの用途等を示す記載と比較して小さく記載されている。また,前記(1)のとおり,取付方法の記載された面に表示された被告標章を除き,被告標章1の前には「For」の文字が付加され,被告標章2の後ろには,「用」との文字がそれぞれ付加されている。そして,「For」は,「~のために」といった目的を意味する中学で学習する基本的な英単語であり,「用」は,接尾語的に用いられる場合には,何かに使うためのものという意義を有する語である。したがって,被告製品の一般需要者は,被告標章を含む「For brother」,「ブラザー用」,「新ブラザー用」の表示について,被告製品が,原告製造のファクシミリに使用できるインクリボンであることを示すための表記であると理解するものと認められる。
(略)
オ 前記(1)のとおり,当該機器類と消耗品との適合関係が限定されているような場合に,ユーザーが誤って自己の使用する機器類に適合しない消耗品を購入することがないように,商品の外箱等に適合機種を表示することが通常行われており,消費者も,そのようなことを十分に認識し,消耗品購入の際の参考としている。また,被告製品は,原告の製造に係るファクシミリの特定の機種にのみ使用できるインクリボンであって,被告が,インクリボンを販売するに当たっては,消費者が,他社製のファクシミリに使用する目的で当該インクリボンを誤って購入することがないよう注意を喚起することが不可欠であり,そのような目的に照らすならば,被告標章の表示は,ごく通常の表記態様であると解される。
以上の点を総合すれば,被告が被告製品において前記認定の態様で被告標章を用いた行為は,被告標章を,被告製品の自他商品識別機能ないし出所表示機能を有する態様で使用する行為,すなわち商標としての使用行為であると解することはできない。
 したがって,被告らによる被告標章の使用は,本件商標権の侵害には当たらない。

2日目は、地域団体商標に関する問題ですが、題材は「淡路島たまねぎ」の地域の団体商標だと思われます。
拒絶査定後に共同出願に名義変更して認められたものです。