不正競争防止法の枝別の考え方について

ときどき、受験生を悩ませるのが不正競争防止法や著作権法の枝別の考え方です。

これらは「適切なもの」を選ぶ問題が大半ですので、1枝だけ分解した場合、結論が異なる場合があります。
例えば、先日質問頂いたのが、
以下の2問です。

[23-1-3]甲の営業秘密を不正取得した乙は、友人丙に当該営業秘密を無償で開示した。丙は、開示を受けた時、不正取得行為が介在した事実を知らず、また知らないことについて過失がなかった。丙が、当該不正取得の事実を知った後に、当該営業秘密を用いて事業活動を行ったとしても、丙の行為は不正競争に該当しない。→×

[25-9-1]甲は、乙社の営業秘密である設計図を窃取し、丙社に当該設計図を譲渡した。丙社は、譲受けの時点で、甲の窃取行為を知らず、かつ知らないことにつき重大な過失がなかった。その譲受け後、丙社は、報道で甲の窃取行為を知るにいたった。その後、丙社が当該設計図を下請け会社に提供することは、不正競争となる。→×

このように、ほぼ同じ事案ですが答えは逆になります。
19条1項6号を考慮するか否かで答えが変わってしまい、枝だけからは判別ができません。
したがって、「他の枝と比較」した上で、最も適切/不適切を判定するしかありません。

これ問や、短答解法のテキストのように、枝別で学習したり、解説を読んで悩ましかったりするのですが、深追いはしなくてよろしいかと思います。

なお、23-1-3は「無償で開示」になっています。19条1項6号は「対価を支払ってノウハウを取得した第三者」を保護する規定(逐条解説不正競争防止法)のため、無償で取得したものについては19条1項6号を考慮しないという考え方もあると思います。
ただ、「取引」には「有償・無償の別を問わない」(不正競争防止法コンメンタールP.448他)という考え方もあるため、ここだけで「×」と判断するのは難しいと思います。