あずきバーその後(判例)

前回、判決が解らない時点で書いた記事(http://d.hatena.ne.jp/baba-p/20130126)から、今回判例が公開されました。

審決の内容から推測して3条2項の適用をどのようにしているのか気になるところがありました。判例を読むと、どうやら特許庁とは異なり「同一の商標を使用している」との判断のようです。

以上のような本件商品の販売実績及び宣伝広告実績並びにこれらを通じて得られた知名度によれば,本件商品の商品名を標準文字で表す「あずきバー」との商標(本願商標)は,本件商品の販売開始当時以来,原告の製造・販売に係る本件商品を意味するものとして取引者,需要者の間で用いられる取引書類等で全国的に使用されてきたことが容易に推認され,本件審決当時でも,本件商品を意味するものとして価格表や取引書類等で現に広く使用されている。
(中略)
被告は,原告が本件商品について本願商標を使用しておらず,あるいは本願商標を使用する場合にも印象に残り難い方法で使用しているにすぎないと主張する。
しかしながら,前記イに認定のとおり,本願商標は,本件商品の販売開始時以来本件審決の時点に至るまで,原告の製造・販売に係る本件商品を意味するものとして取引者,需要者の間で用いられる取引書類等で全国的に使用されてきたものと認められる。

特徴的なロゴを使っていない使用が、取引書類や他社の比較広告、書籍等から認められるとのこと。

また、指定商品についても、同一であるとの判断です。

被告は,本願商標の指定商品がアイス菓子に限定されないのに,原告がアイス菓子以外の「あずきを加味してなる菓子」について本願商標を使用していないから, 本願商標が実際に使用している商品と指定商品が同一ではないと主張する。
しかしながら,本願商標の指定商品は,「あずきを加味してなる菓子」として特定されているところ,本件商品は,アイス菓子ではあるものの,「あずきを加味してなる菓子」であることに変わりはなく,かつ,本願商標は,前記に認定のとおり,使用をされた結果需要者が原告の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認められるから,商標法3条2項の要件を満たすといって妨げはないのであって,上記のように特定された本願商標の指定商品を更にアイス菓子とそれ以外に区分して判断すべき理由はない。

結果として、同一の商標を同一の指定商品に使用しているため3条2項について認めて良いとの判断のようです。3条2項の適用については、去年の「Kawasaki事件」以来気になるところではあります。ただ、今回の内容は「同一」と判断している点で、条文に則した判断になっているものと思われます。