16−2−ロ

今日は短答試験について。平成16年第2問について、以下の様な問題があります。

指定商品又は指定役務に関し、次の(イ)〜(ホ)のうち、誤っているものは、いくつあるか。
ただし、マドリッド協定の議定書に基づく特例は考慮しないものとする。
(ロ) 商標登録出願において、「操作方法の説明とともにするコンピュータの小売」は、指定役務とすることができる。

正解は「×」です。理由は、平成16年当時、小売については「役務商標」として認められていませんでした。例えば、小売業の場合、コンピュータを販売するのであれば、指定商品「コンピュータ」として出願する、すなわち商品商標として出願する必要がありました。そうすると、例えば百貨店等は全類について出願しなければならないという状況にあったため法改正がされます。

(平成18年)法改正によって、小売が指定役務として認められるようになりました。それでは、この枝は「○」になったのかというと、答えは「×」のままです。理由としては、指定役務として「小売」ではなく、「○○○の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」と記載しなければならないためです。

この点は商標審査便覧28.01に記載があります。

3.その他
(1)「○○○の小売」「○○○の卸売」の表示について
「○○○の小売」「○○○の卸売」の表示については、それが商品を指定したものであるのか、小売等役務を指定したものであるのかが明確でないことから、商標法第6条の要件を満たしていないものとして、いずれを意図したものであるかを確認することとする。
その結果、上記表示が小売等役務である場合には、「○○○の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に補正させる。また、上記表示が商品である場合には、商品として「○○○」に補正させる。

すなわち「小売」だけだと、商品か役務か不明確なので、しっかり書いてねという内容です。したがって、「〜小売」として、指定役務にすることは出来ません。

市販の過去問の解説ですと、ここまで書いていないので、いまいちピンとこないんですよね。何人か質問された事があるので今回記載してみました(一応、結論として「〜便益の提供」まで書かないとだめなんだよ」と伝えていました)。