質問への回答

前回のコメントの質問について、長くなりそうなのでこちらで回答します。問題の解き方について。

Q1)登録意匠イの意匠権者である甲は、イに係る意匠登録出願の日前の出願に係る乙の登録意匠ハの意匠権の効力が登録意匠イに類似する意匠にのみおよぶ場合、乙の許諾を得なければ業として登録意匠イの実施をすることはできない。
A1)類似する意匠にのみ及ぶのだから登録意匠イには及ばないので実施できると答えます。

この考え方で良いと思います。そもそも、この問題は前半で「登録意匠」を聞いていて、後半で「類似意匠」にすり替わっている、ちょっといやらしい問題です。底に気がつけば難しく無い問題でしょう。

Q2)意匠権者甲の意匠権を乙が侵害している場合において、丙は、意匠権侵害に係る物品の製造にのみ用いられる装置を業として製造し、乙に販売した。この場合、丙が乙の意匠権侵害の事実を知らず、かつ、知らなかったことに過失がないときは、丙の行為は、甲の意匠権を侵害するものとはみなされない。
A2)知らないのだから侵害にすると丙がかわいそうという考えと、知らなくても侵害になるんだという考えが2つ出てきます。そして、どちらか一方を選択しないといけなくなります。このときに直感でどちらかを選択するという方法です。

こちらは難しい問題となります。意匠法38条の要件に該当しているため、侵害となる訳ですが・・・仮に意匠法38条の要件(条文)を忘れると難しい鴨知れません。

また、A2)のようにどちらかを選択しなければならないときに、どのような基準で選択すればより正解になるのでしょうか?

そもそも、上の考え方で、

知らないのだから侵害にすると丙がかわいそうという考え

は除外すべきです。原則として知らなくても侵害となるのが産業財産権だからです。特許権等非常に強力な権利なのです。したがって、この手の問題(権利侵害問題)については、「侵害」となる方が多いわけです。
特に、本問においては「侵害するものとはみなされない」というのは非常に強力な出題です。これが間違いであれば「侵害となる場合がある」程度の問題です。明らかに後者と考えるのが自然でしょう。
また、問題文には「のみ」というキーワードが入っています。「のみ」品であれば侵害になることは、特許法の知識から容易に導き出せると思います。
まず原則「侵害問題では侵害となるパターンが多い」ということを押えて、仮に過去問で学習したときに「侵害とならない場面」が出てくれば、それを強烈に覚えれば良いことになります。

条文の要件と効果を思い出したり、趣旨から考えている時間がないのが現状でした。

要件・効果はある程度思い出す必要はあります。趣旨については、本試験でいきなりやるのは無謀だと思います。普段の勉強で練習をすることによって身につくものです。試験直前に「問題解けないから何とかしよう」として、急に出来るようにはならないかと思います。

ただ、短答過去問を解く段階で「回答は「○」だけど、「×」だったらどういう問題(課題)があるんだろう」と考えていく勉強法は有効であると思います。それによって理解も深まるからです。