商標権における無効審判

弁理士試験の勉強をしていると、4条1項15号や19号の適用についてはかっこ書きが気になると思います。
すなわち、4条1項10号に該当するのであれば、15号に該当しませんし、15号に該当するのであれば19号に該当しません。短答試験の学習ではこの辺は択一的に判断します。しかし、実際の審判・訴訟では並列的に扱っていきます。

例えば、直近の判例では、「インテル」が「インテルグロー」という商標について、無効を請求した事案があります。

原告「インテル・コーポレーション」
被告「株式会社インテルグロー」
判決文:http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130419094724.pdf

インテルというえば、あのCPUを製造しているインテルです。著名企業です(と、自分は思います)。ここで、インテル社は「インテル」を含んでいるため、「インテル」+「グロー」ということで、インテルが成長するという意味と考えます。そこで、商標「インテルグロー」に対して無効審判を請求しますが、「本件審判の請求は成り立たない。」と審決が出てしまいます。それに対する審決取消訴訟です。

ここで、インテル社が主張している無効理由ですが、「商標法4条1項8号,11号,15号,19号及び7号に該当する」という内容です。このように複数の条文を用いて主張していきます。それは、仮に一つしか主張していなければそこで認められないと終わってしまうからです。

なお、知財高裁でも本件は認められませんでした。「インテル」という商標について裁判所の判断は「そこまで著名では無い」とのこと。コンピュータに携わって来た自分とかはすごい著名商標なのですが、一般需要者という点から判断するとそういうものなのかも知れません。