商標の機能について

質問がありましたので、まとめて説明しておきます。

講座では何度も言っておりますが、商標法の学習は「商標法の機能」を意識することがポイントです。この商標法の機能ですが、いわゆる三大機能を意識します。

  • 自他商品等識別機能
  • 出所表示機能
  • 品質・質保証機能

(なお、広告宣伝機能も重要なのですが、受験生的には重要度が落ちます。)商標法の学習では、必ずこれを意識して下さい。意識というのは「強烈」に意識して下さい。「商標の機能があるよね〜」ってレベルではダメです。

さて、そもそも商標として成立するか否かという根本的な話が「自他商品等識別機能」です。例えば、仮に「携帯電話」ってブランドの携帯電話があったとします。これ、携帯電話を買うときにすごい困るわけです。携帯電話に「携帯電話」は普通名称です。需要者が識別できない、識別力が無いということになります。この機能が「自他商品等識別機能」です。
したがって、自他商品等識別機能のチェックは主に商3条が担当しています。逆に言えば、使いまくってみんなが識別できるようになればクリアになります(3条2項)。

今度は携帯電話に「iPhone」はどうでしょう?これは識別できます。「iPhone」という名前が付いていれば、価格や機能は違えども「Apple社の携帯電話」と解ります。これが「出所表示機能」です。「同じ商標が付いていれば、同じ会社が作ってる(売っている)」=「同じ出所である」というのが出所表示機能です。
したがって、仮に違う会社が「iPhone」という名前の携帯電話を製造・販売すると、他の人は混乱する訳です。違う会社の製品=出所が異なるからです。この他社が携帯電話に「iPhone」と使うのは普通名称ではないので、自他商品等識別機能は発揮できています。しかし、他人の商標があるので出所表示機能を害します。
言い換えると、自他商品等識別機能が無ければ、出所表示機能もありません。しかし、自他商品等識別機能があっても、出所表示機能が害されることはあります。確かに出所表示機能を「発揮出るか否か」という考え方をすると、自体商品等識別機能と同じになります。しかし、出所表示機能は、他人の商標との関係で、「害されるか否か」という考え方をする点で、自他商品等識別機能とは異なります。
出所表示機能のチェックは主に商4条が担当しています。

なお、品質(質)保証機能は、同じ名前なら同じ品質(質)であるという期待値です。「デニーズ」と書いてあれば、デニーズの料理を期待する訳です。これは商標を使用し、信用が化体された後の話になりますので、登場するのは審査場面ではなく、取消審判等です。