御用邸事件

商標「御用邸」について、無効が争われた事件です。

商4条1項7号で無効になる事件はときどきあるのですが、やはり正面から問題になるという事件は少し興味があります。御用邸は皇室の別邸なのですが、これは商標として登録されては駄目では?と争った事件になります。

御用邸」とは皇室の別邸を意味し,天皇又は皇族の静養等に用いられるもので,現在,那須御用邸葉山御用邸須崎御用邸の3つがあること,御用邸は国有財産であって,行政財産のうち皇室用財産に属し,宮内庁が管理するものであることが認められる。「御用邸」が皇室の別邸であることは広く知られており,「御用邸」の文字には,皇室と関係があるかのように感じさせる効果があり,顧客誘因力がある。そうすると,皇室と何らの関係もない者が,自己の業務のために指定商品について「御用邸」の文字を独占使用することは,皇室の尊厳を損ね,国民一般の不快感や反発を招くものであり,相当ではない。

確かにその通りな気がします。原告は「御用邸」を含んでいる商標は、本件登録商標の出願時(平成7年)には登録になっていた(登録になっている他の商標がある)と主張していますが、当該主張は採用されていないようです。