オリンピック

日曜日からオリンピックの話題で持ちきちりです。2020年のオリンピック。
2020年には何をしているのか?と考えると色々と考え深いです。

さて、「オリンピック」という商標を出願したらどうなるのか?
ご存じの通り4条1項6号違反で拒絶されます。6号の審査基準にも「オリンピック、IOC等を表示する著名な標章等は、本号の規定に該当するものとする。」と規定されております。

さて、オリンピック関連で一つあげると、「日本数学オリンピック」(登録4926121号)の話題があります。平成17年6月8日に出願し、第16類「印刷物」及び第41類「数学の競技会の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供、数学の教授、数学に関する電子出版物の提供、数学に関する図書及び記録の供覧」を指定商品及び指定役務として、同年12月19日に登録となりました。

これに対して待ったをかけたのがIOC、国際オリンピック委員会です。「OLYMPIC」という登録商標を有しており(登録第4117280号、指定役務 第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授、スポーツの企画・運営又は開催、映画の制作」)、異議申立を行いました。このときの取消理由としては、4条1項6号、11号、15号、7号、19号を指摘しています。

これに対して特許庁は登録維持の判断となりました。確かにオリンピックには「競技会」という意味が含まれていますし、必ずしも混同しないということです。

といっても、必ずこのような商標が認められるかというと、かなり厳しいものとなります。以下、審決の内容を記載しておきます。

当審の判断
1 商標法第4条第1項第6号について
本件商標は、前記第1に記載のとおり「日本数学オリンピック」の文字よりなるところ、その構成文字全体から申立人が主張するようにIOC(国際オリンピック委員会)が行う数学のオリンピック」を意味するものとして、直ちに理解するとはいい得ないものであり、その一方で、「オリンピック」の文字が他の文字と結合して、「技能オリンピック(国際職業訓練競技会の通称)」(「コンサイスカタカナ語辞典第3版」;株式会社三省堂発行、「オリンピック」の項参照)の用例に見られるように、「競技会」の意味を表す語として採択・使用されるものであり、その指定役務中の「数学の競技会の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供」との関係をも合わせ勘案すると、これよりは、全体として「日本における数学の競技会」程の意味合いを看取するというのが相当である。
そうすると、本件商標は、申立人が主催する国際総合競技大会を表示する標章「OLYMPIC」と同一又は類似の商標とはいえないものである。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「日本数学オリンピック」の文字よりなるものであって、上記1のとおり全体もって、「日本における数学の競技会」程の意味合いを看取させる一連一体の商標というべきであるから、これよりは、「ニホンスウガクオリンピック」の称呼、及び「日本における数学の競技会」の観念を生ずるものというのが相当である。
そうすると、本件商標より「オリンピック」の称呼及び「IOC(国際オリンピック委員会)が行う数学のオリンピック」の観念を生ずるとした上で、本件商標と引用商標とが称呼及び観念において類似するとする申立人の主張は理由がないといわなければならない。
その他、本件商標と引用商標とが類似するとみるべき特段の事由は存しない。
したがって、本件商標は、引用商標とはその称呼、観念及び外観のいずれの点においても非類似の商標というべきである。
3 商標法第4条第1項第7号及び同第19号について
本件商標は、上記1及び2のとおり、引用商標とは類似しない商標であり、かつ、申立人が主催する国際総合競技大会を表示する標章「OLYMPIC」と同一又は類似の商標として直ちに理解し得ないものであるから、本件商標をその指定商品・役務について使用しても、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものではなく、また、国際信義に反するものでもない。
また、本件商標は、引用商標とは類似しない商標であって、申立人が主催する国際総合競技大会を表示する標章「OLYMPIC」と同一又は類似の商標として直ちに理解し得ないものであるから、引用商標及び申立人が主催する国際総合競技大会を表示する標章「OLYMPIC」を剽窃したものでもなく、不正の目的をもって使用するものでもないというべきである。
4 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、上記1及び2のとおり、申立人が主催する国際総合競技大会を表示する標章「OLYMPIC」と同一又は類似の商標として直ちに理解し得ないものであり、かつ、引用商標とは類似しないものであるから、本件商標をその指定商品・役務について使用しても、申立人及びその関連団体の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
5 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第6号、同第11号、同第7号、同第19号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。