結論ありきの論文答案

質問があったので、それを題材に少しだけ。

論文過去問(H16年商標)の設問(1)の主体的要件の検討部分についてです。
回答の内容は何となく理解出来るのですが、条文の文言上のどの団体or組合になるのでしょうか?

ちなみに、平成16年の問題の最初は・・・

東北地方のある地域の名産品として、舞茸を混ぜ込んだ具を使用した「餃子」が、「舞茸餃子」の標章の下に、複数の業者によって製造販売され、需要者の間で著名になっていた。そこで、それらの業者で組織された団体甲は、構成員の間で共通に使用されている標章「舞茸餃子」について団体商標の商標登録を受けるべく、特許庁に「餃子」を指定商品として団体商標の登録出願を行った。

です。

団体甲が団体商標の主体的要件を満たすか否かは、実務的には検討する必要があります。
しかし、試験は点数を取るのが目的です。
点数をとることを考えると、甲は主体的要件を満たしていないと困るわけです。
したがって、「主体的要件を満たす」という前提で答案を作成する必要があります。

次に、この甲がどの団体に適合するかですが、正直それは「商標法」の範囲を逸脱します。
団体商標の主体として、事業協同組合に該当することは多いのです。
しかし、必ずしも事業共同組合かというと、そうとも限りません。
例えば、登録商標黒門市場」の権利者は「黒門市場商店街振興組合」であって商店街振興組合(根拠法が商店街振興組合法)となります。

本問の場合は、宇都宮餃子会のように、協同組合(同業種同志型組合)の可能性が高いですが、問題文からは結論を出す必要が無いと思います。
すなわち、団体商標の主体の規範(定義)を記載し、問題文を当てはめれば解決するでしょう。

「問題文の要件が該当するか否か」という「問題文→解答(根拠)」という考え方も重要です。
しかし、論文試験で点数を取ることを考えるなら「何を書きたいか」ということを明確にし、「結論→解答(根拠)」を記載するのも一つの方法です。

このとき、条件が不明で記載に困るときは、魔法の言葉「〜の場合には」を使えば何とかなるでしょう。
「何を書くべきか」というより、「点数を取るための答案」を意識して頂けると論文試験は点数が取れるようになっていくと思います。

団体商標として登録を受けることができる者は一般社団法人等、法人格を有する団体であり、その商標を構成員に使用をさせる者である(7条1項)。
団体甲は、業として餃子の製造販売する業者である構成員を有し、その構成員に商標を使用させる団体であることから、主体的な要件を満たす。

と記載すれば十分かと思います。