結婚式(披露宴)での楽曲使用について

何か一部のニュースサイトで急に話題になっていました。

結婚披露宴で流す音楽についても、著作権使用料をよこせという話です。
どうやら管理団体がそのように主張しはじめたみたいで、記事になった様子。

Q3.
自分の結婚式で市販楽曲を利用することは、なぜ私的利用の範囲を超えるのでしょうか?
A3.
?私的利用?とは、自分が楽しむため(家族や家庭内を含む)が前提となります。ブライダルの現場は、不特定多数の人が集まる場になり、またご祝儀は入場料にあたる解釈となりますので、私的利用の範囲外となります

これも少しおかしな話な気はします。
まず、結婚披露宴での上演ですが、著作権法30条ではなく、法38条1項に該当するか否かという話になります。

38条(営利を目的としない上演等)
1 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。

いくつか要件がありますが、まず「公表された著作物」については問題無いでしょう。
また、結婚式場自体が利用する場合は、「営利を目的」に該当するでしょう。
したがって、式場に対しての話であれば、まだ解ります。
しかし、個人が自分の結婚披露宴で使用する場合、結婚する本人たちは「営利を目的」に該当しません。

問題は「聴衆又は観衆から料金」「上演等を行う者に対し報酬が支払われる場合」に該当するか否かです。
すなわち、結婚披露宴の参加者が払う「ご祝儀」が上記要件に該当するか否かです。
要件としては「かつ」となっていますので、こちらもクリアする必要があります。

結論から言えば、「裁判をおこさないと解らない」という話になります。
個人的には「該当しない」と主張することは可能だと考えます。
例えば、その音楽がなければ参加者が来なかったということも有りません。
参加者も「○○さんの結婚披露宴はXXって曲がかかるから、祝儀を多めにしよう」ということもないでしょう。
そう考えれば、祝儀が「聴衆又は観衆から料金」に該当しないと考えられるからです。

そうはいっても「裁判所の判断」が無ければ管理団体の主張も現在のところ有効です。
誰かが「それは納得がいかない」ということで訴訟をおこし、最終的に司法が「支払う必要が無い」と判断するまでは、請求自体は正当なものとなっています。

ということで、自分はそういう機会はもうなさそうですから・・・誰かが立ち上がってくれることを待つのみです。