短答/論文試験における出題意図把握

Twitter上で試験的に短答の問題を(だいたい)1日1問出題をしています。

申し訳ありませんが、割と「気軽に」出題しているため、校正等も行わず、本試験とは違い厳密な出題では有りません。
元々「過去問で問われていない要件」を確認してもらいたいために出題しているに過ぎないので、その辺は優しい目で見て頂きたいところです。

なお、リプライによる解答は有り難いですし、参考になるのですが、総ての解答に返信したり、質問に答えられない点はご了承下さい。
LEC側や他の講師に迷惑がかかってしまう場合があり、こういうこと自体をやってはいけないと言われる可能性があるためです。ご了承下さい。


さて、解答を見ていて感じたことは短答試験においても題意把握をする必要があるということです。題意把握というより、「出題意図」の把握です。

例えば、今回出題していた問題は、以下の通りです。

需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することが出来ない商標Aを甲が使用することにより、需要者が甲の業務に係る商品であることを認識することができるようになった場合には、当該商標について登録を受けることができる。

論文試験も、短答試験も、必ず出題者の「意図」があります。
出題者は何かを聞きたかったのです。
それを聞きたいために問題を作っています。

本問であれば、問題文は商標法3条1項6号、3条2項の条文の文言であることが気がつくと思います。
すなわち、本問について出題者は「3条1項6号は、3条2項の適用がありますか?」と聞きたかったことになります。
この場合、3条1項6号は、そもそも3条2項の適用がありません。
本問後段の文章の状態(識別力がある状態)であれば、すでに「〜認識することが出来ない商標」には該当しなくなったことになります。
したがって、「登録を受けることが出来る」となります。したがって、出題者の意図としては「○」になります。

さて、本問については、「登録を受けることができる」のため、他の拒絶理由に該当することになれば当然登録されません。したがって、そう考えると「×」となります。
ただ、この場合、出題者の意図は何だったのでしょうか?「拒絶理由はたくさん有るよ?知ってますか?」ということでしょうか。4条に該当して拒絶・・・では6条は?8条は?と上げたらきりが有りません。
「出願人等の記載が願書になかったから補完命令の上、却下!」とも言い出せる訳です。
本試験では、このような疑義の生じる部分は一切排除されています。
このような心配は本試験では本来起こりません。ただ、それに気がつくかどうかは別問題です。

本問は、確かに正確性に欠けるため、見解が分かれるのは申し訳ありません。
ただ、この手の問題で想定しない解答をする人は、やはり答練や本試験でも同じ事をしてしまいます。すなわち、「何を問われているのか?」という意識が薄いのです。

これは論文試験になると顕著になります。
出題意図を意識しない人は、

「この問題は何を問われているのか?」

という視点ではなく、

「この問題で何を書きたいか?」

という考え方なのです。
だから、項目落ちもしますし、模範答案(レジュメ)と離れた解答になります。

試験は人間が作っていますから、必ず出題意図があります。
その点を普段から意識をして欲しいのです。
短答試験を解いたあと、単純に解答を確認するだけでなく、「この問題で出題者は何を確認したかったのか?」と考えるだけでも定着率・理解度は異なると思います。

「この枝って、一言で言うと何を聞かれているの?」

という視点が重要です。

なお、論文試験も同じです。
問題文の言葉から「何を聞かれているのか?」「出題者としては何を聞きたかったのか?」が解ると項目落ちしなくなります。
それが出題者の意図を把握することになり、題意把握となります。