金銭的請求権における準用について

金銭的請求権で特104条の2を準用していないのは、商標は目に見えるのだから侵害の行為が分かるので、具体的明示をするまでも無い。と言う理解でよろしいでしょうか?

改正本や答申も探したのですが、根拠となる記載が探せなかったので理解の仕方だけお伝えしておきます。

金銭的請求権は、商標権と並び極めて強い権利です。
単に実施料相当額しか請求出来ない特許の補償金請求権とは異なります。
しかし、そうはいっても、登録になっていない商標権ですから、登録商標と同じ力を持たせるのは行き過ぎです。
したがって、侵害関係の規定では、「権利者側の主張を楽にする規定(挙証責任の転換規定等)」については準用されていません。

104条の2は、挙証責任を侵害者側に転換する規定です。
金銭的請求権においては、これは原則通り権利者側が行って下さいということです。
なお、権利化後の商標権の侵害規定では準用されています。

このように、権利者側を楽にするための規定

商38条(損害額の推定)、特103条、特104条の2、特105条の3

については、金銭的請求権には準用されていません。

補足ですが・・・
特許法における補償金請求権は実施料相当額であることから、損害額に関する特102条、特105条の3は準用されていません。
特104条の2は、実施料相当額だから良いと考えているのか、準用されています。

質問者の「目に見えるから」という理由も良いとは思います
ただ、この考え方でいくと、商標権については準用されているという点をミスりそうでしたので、このような説明としました。
(例えば、37条7号、8号といった間接侵害であれば、この規定は役に立つかも知れません)