補正について

以下、質問がありましたのでお答えします。

苦手なのはH21年問題1の「A→A+C」のパターンです。
これがもし単一性を満たしていたら補正できるのか(17の2第5項2号該当か)? 訂正審判だったらどうか? そんな条件の問題は出ないか?

本問では、A+Cが17条の2第5項第2号の要件を満たすか否かは論点となっておりません。
本試験の問題とは離れますが、題材として選んでくれてご質問をいただきました。
(もともと17条の2第5項第2号の質問があったため)

補正の可否について

基本的に、本問の場合A+Cの補正は17条の2第5項第2号違反になるかと思います。
それは「C」に新たな課題を解決するもの「ビデオ撮影機能」が付いているからです。
請求項の課題が変わってしまいますので、この場合は補正が認められないと思います。
新しい効果が生まれるかどうか?という視点は重要です。
なお、A+Cと新しいCが今回のように付加されている場合、8割型の問題で「外的付加」を表していることが多いです。
したがって、その観点からも限定的減縮には該当しないでしょう。

現実的な解答

上記が模範的な回答です。
しかし、受験生が本試験において、緊急対応として・・・両方書くという方法もあります。
通常、同じ問題の「A+B」→「A+B1」のように明らかに「要件を満たすのではないか?」という出題のされ方をするはずです。
したがって、「A+Cに補正をする」というのは補正要件を満たすか否か、実際試験問題を解いて「解らない」という場面に遭遇することも有ると思います。
この場合、「A+Cが17条の2第5項第2号の補正要件を満たすと考えられる場合には当該補正を行い、補正要件を満たさない場合には、分割出願を行う」と記載したり、「A+Cが17条の2第5項第2号の補正要件を認められない可能性を考え、分割出願を検討する」等と記載してしまうのが、一つの解決方法だと思います。

この考え方は正しくないのですし、おそらくどの受験機関も推奨しないと思います。
しかし、本試験では「正解が解らない」のが現実的な受験生の立ち場です。
その場合、論文試験は「正解を求める」という以上に「点数を取る」という考え方が重要です。
点数を取るという観点からは、ある程度保険をかけて答案を記載するという配慮が必要です。

実務的にも、分割出願を進めるのはベストとは言えませんが、間違えた対応ではありません。
下手にギリギリの補正をして補正却下・拒絶査定になるのであれば、分割出願をしてしまうというのも一つの手法だからです。
解らないときは、あらゆる事を想定し、広めに答案を記載する。
仮に解っていても、万が一を考えて保険論点を記載する・・・という対応が、必要にはなります。

なお、答案には書けませんが、実務的には他にも方法はあります。
だって17条の2第5項に違反しても無効理由ではないですから・・・