団体商標について

団体商標に絡んで色々と質問を受けますので、簡単に伝えておきます。

さて、そもそも団体商標って入りますか?ってところ。
団体商標って、どんなメリットがあるのでしょうか?

(・∀・)<「出願人が使用しない商標であっても、登録出来ます!」

優秀ですね。使用しない商標を出願したらどうなるでしょうか?

(・∀・)<「3条1項柱書違反で拒絶です!」

すばらしい!では、出願人が使用しない商標って、審査官はどうやって解るのでしょうか?

(・∀・)<「査定時迄に使用してないものです!」

なるほど。ところで、商標って出願時・査定時に使用が要件となっていましたっけ?

(;ω;)<「な、なって、なっていません・・・」

泣かなくても良いと思います・・・


商標登録出願は「登録主義」であり、使用が要件とはなっていません。
したがって、登録主義の是正制度が商標法にはいくつもあります。
その話はさておき。
商標はとりあえず出願時に使用してなくて良いのです。
(実務的には、指定商品が多すぎる場合等使用確認が入る場面もありますが、ひとまず受験生は無視しましょう)

さて、登録になったらどうでしょう?

(・∀・)<「商標は使用しなければなりません!」

使用しないと?

(・∀・)<「不使用取消審判!審判!」

そうです。良いですね。さて、これって、商標権者が使用している必要がありましたっけ?

(;ω;)<「・・・使用権者等でも良かったです。」

その通りです。

そうすると団体商標って、構成員を通常使用権者とすれば、別に団体商標である必要は無くないですか。
もっといえば、団体商標なんて不要じゃないですか?

(;ω;)<「そんな気がしてきました・・・」

あえて極論を言えば、「団体商標」は不要です。
なぜなら使用許諾制度でカバー出来るからです。

では、何故団体商標制度があるのか?
これは「マドプロのため」です。
マドプロには団体商標制度がありますので、加盟する上で無いと困るからと、条約と国内法を揃えたに過ぎません。
したがって、個人的には、団体商標自体、あまり意味が無いと思っています。
確かに主体的な要件はあるのですが、本当は通常の商標登録出願として考えても良いのです(そうはいっても、団体に明らかに使用意思がない場合は、団体商標で出願する意味はあると思います)。

団体商標はそういう商標ですので殆ど制限がありません。

ところが地域団体商標はどうでしょう?
地域団体の原則は「登録させたくない」という気持ちです。
だって、本来は「識別力が無い商標」であり、「誰もが使いたい商標」です。
だから、みんなで使用するべきだけど・・・ある特別な場合だけ特別に認めてあげる。
それが地域団体商標です。

したがって、地域団体商標には様々な制限規定がはいります。
「無くてもいいや」という団体商標と、全然気持ちが違います。
団体商標はある程度何でもありです。
しかし、地域団体商標は厳格に定めています。
だから、移転も勝手に出来ません。

逆に、地域団体商標は商標権者以外の人に甘いのです(商32条の2の要件からしてそうです)

「団体商標」と「地域団体商標」はほぼ同じように学習します。
だから似ている制度と思われがちなのですが、ここは全然ニュアンスが違うと考えた方が条文としては理解しやすいと思います。