明りょうでない記載の釈明

17条の2や、126条等で登場する「明りょうでない記載の釈明」ってよくわからない表現だと思います。
「これって何をやってるの?」と。特に「誤記(又は誤訳)の訂正」と何が違うのかと。
はっきりしなかったものをはっきりさせるのが明りょうな記載の釈明になります。

いつもの如く、食べ物の例で説明しましょう。
味噌汁を作ってもらったけど、ちょっと味が薄い。
何か味がはっきりしないな〜というときに、

「これ、味付け薄いよ。」
「あら、なら味噌でも少し増やして濃くしましょうか。」

これが「明りょうな記載の釈明」です。
すなわち、はっきりしなかった味付けをしっかりした味付けに変える。
この場合、味噌汁というベースは変わりません。

ところが、

「あれ、お昼ご飯味噌汁なの。」
「間違えたわー。ごめんごめん、味噌ラーメンだった。」

これが誤記の訂正です。
「味噌ラーメン」のつもりが「味噌汁」としてしまった。
もう、対象ががらっと変わるわけです。

誤記の訂正というと軽微なものを思いつくかも知れません。
例えば「味噌ラメン」と書いてしまったのを「味噌ラーメン」に補正(訂正)する。
これは典型的な誤記の訂正です。
しかし、上述したように、「味噌ラーメン」とするところを「味噌汁」としてしまった。
これも誤記の訂正になるのです。
「出願人としてはそのつもりだったけどうっかり」と主張するのです。

さすがに全然違うじゃん!ということで発明が変わってしまう場合があるのです。
それに対して、明りょうな記載の釈明は、大方同じものになります。
味噌ラーメンであることには変わらず、ちょっと味付けが変わっただけだからです。
ただ、勝手に味付けを変えられては困るので、17条の2のときは言われたときだけ(拒絶理由で指摘されたものだけ)しか認められません。

さて、ちなみに、「味噌汁」を「味噌ラーメン」に補正するなんてできるのでしょうか。
例えば、図面にラーメンが書いてあります。そして、明細書の前後に、
「味噌ラーメンの製造方法としては・・・ゆでた麺をスープに入れ、炒めた野菜を載せることで味噌汁が完成する。そして、この味噌ラーメンと、・・・」
となっていた場合、明らかに上記味噌汁は味噌ラーメンの誤記と解る訳です。
なので、必ずしも認められないという訳ではありません。