短答枝の読み方について

質問があったのでお答えします。

意匠H22-12-ハ 問題文で質問です。ここで意匠権者が損害賠償をすることが出来るとして○になっているのは、過失の推定が働くからという読み方をするからでしょうか。「出来る」と言い切られると常に出来るのかとも読めてしまい悩みました。

これだけでは、質問の意図が分からなかったので、もう一度確認をすると。

「故意又は過失により」ここが問題文にはありません。一方lec回答には明記されています。他方h20-14-ハでは故意・過失を理由に枝を切っています。なので問題文から故意・過失をどう読むのかなと思った次第です。

とのことでした。

ちなみに、

[22-12-ハ]意匠権者は、業として、当該登録意匠に係る物品の製造にのみ用いる装置の輸入をする者に対して、損害賠償を請求することができる。
[20-14-ハ]意匠権者甲の意匠権を乙が侵害し、甲が乙に対して侵害の差止め及び侵害により甲が受けた損害の賠償を請求した場合、甲の乙に対する差止請求は認められても、損害賠償請求は認められないことがある。ただし、甲の意匠権は、秘密意匠に係る意匠権ではないものとする。

との問題です。

まず、損害賠償ですが、必ず「故意又は過失」が必要となります。
それが損害賠償を請求するときに求められる要件だからです。

短答試験は確かに裏読みも必要ですが、やはり「弁理士としてどう答えるべきか」という視点は大事です。

22-12-ハですが、前半の行為が侵害に該当するのであれば、損害賠償の請求は出来る訳です。
これは、例えば22-12-ハのようなことを聞かれた場合「×」ということは「出来ない」という話になります。
それはおかしいわけです。
特に「請求」自体は、根拠があるのであれば、することは可能です。
(認められるか否かは別問題です)
したがって、損害賠償を請求することが出来るかと言われれば出来る「○」となります。

次に、20-14-ハですが、損害賠償請求が認められないことありますか?と言われています。
この場合も、上述した「故意又は過失」が損害賠償の要件となっております。
もし、この枝を「×」として答えてしまうと、いつでも損害賠償請求はOKとなってしまいます。

結局、上の2問は、「×」としてしまうと、回答がおかしくなるのです。
「○」になるかどうか解らないから「×」とやると実は間違えるのです。
「×」になる積極的な理由が必要です。

とくに、例えば「することができる」の「○」は、出来る場合と出来ない場合を含みます。
しかし、「することができる」の「×」は例外なく出来なくなってしまう、強い否定になるのです。
この辺の枝は「○じゃないから×」とやると間違えます。

問題文の構成から、「×にしたら、例外が無くなっておかしくなるぞ」って見直しは必要だと思います。