平成27年3月31日知財高判/平成26(行ケ)10129

最近の判例から。拒絶査定不服審判に対する審決取消訴訟です。
結論は、原告が負けてしまった(拒絶審決維持となった)のですが、判決文を読むと途中「審判官の認定が違う」という記載がちょこちょこ出てきます。

例えば、「補正後の発明の「マイクロモジュールを能動的にすることができる」とは,マイクロモジュールにおける回路を動作させることができるという意味と解した審決の認定は誤りである。」「審決が,このような仮定を用いて説示した点は相当ではない。」等、複数箇所出てきます。

審判官の言うことも細かい部分では違うけど、審決を取り消す程ではなかったというものです。

そして、裁判官に最後ちょっと小言を言われています。

5 なお,本件の審理に鑑み,一言付言する。審決は,引用発明の認定,容易想到性の判断において多くの誤りを含むものであって,いずれも最終的な結論において誤りはなかったことから取り消すべきものとはされなかったものの,このような多くの誤りが本件訴訟を招く一因となったと思われる。また,補正手続においても,請求項の削除であるか請求の限定的減縮であるか不明の場合には,当事者に釈明をしてその趣旨を明らかにさせることが望ましい。審判手続に対する国民の信頼を保つため,審判における審理及び審決の判断の質の向上が期待される。

もう少し、適切な審理を行いなさいという意味なのだと思います。

ちょっと珍しいですね。