情報処理技術者試験による免除のメリットとリスク

今年の弁理士試験の結果を踏まえて、平成28年弁理士試験に動いている方もいらっしゃるかと思います。
そこで、質問を頂くのが「情報処理技術者試験」についてです。
情報処理技術者試験は、応用情報以上が合格出来れば、「選択科目免除」となります。
特に文系受験者にとっては、著作権法が廃止になりますので、「民法はきつい」と考えて検討されている方もいると思います。

応用情報技術者試験について

まず、応用情報技術者試験ですが、そんなに「やさしい」試験ではありません。
問題レベルは、実際に過去問を見てみると良いと思います(例えば、以下のサイトで過去問を見ることができます)

午前問題を見た段階で「チンプンカンプン」となると、勉強にかなり時間がかかると思います。
例えば、問9です。

キャッシュの書き込み方式には、ライトスルー方式とライトバック方式がある。ライトバック方式を使用する目的として、適切なものはどれか。

ア キャッシュと主記憶の一貫性(コヒーレンシ)を保ちながら、書き込みを行う。
(略)

ここで、ライトスルー方式とライトバック方式が解らないのは問題有りません。
しかし、キャッシュ、主記憶といった基本用語が解らないと、受験するのに相当労力を使うことになります。

仮に、本当に勉強を始めようと思った場合、基礎知識がない段階でいきなり応用情報技術者試験の勉強を始めるのは少し無理があります。
ITパスポートなり、基本情報技術者の部分が解っていなければ厳しい分野もあるためです。
また、ITパスポートや基本情報技術者はかなり解りやすい参考書等も販売されています。
まずこれらの資格の勉強を素早く終わらせ、その後応用情報技術者試験の勉強を開始するのが現実的です。

情報処理技術者試験弁理士試験の選択科目

つぎに、情報処理技術者試験の勉強をし、そのまま選択科目として活用できるかです。
関連分野としては、理工V(情報)になります。
情報理論と、計算機工学が選択可能です。
ここで、計算機工学は、従前の「計算機工学」と「情報工学」の範囲から出題するそうです。

まず、情報理論ですが、情報処理技術者試験とは関連性はかなり薄いです。
この科目自体、固まっている分野なので勉強をすれば点数を取れるという「確実性」はあるでしょう。
今は自分も忘れてしまいましたが、「情報理論」という基本書を一冊こなせばクリアはできると思います。
ただ、確率の計算など一部数学が必要となります。

つぎに「計算機工学」については、情報処理技術者試験と一部重なります。
しかし、完全に重なってはいません。
まず「(旧)計算機工学」の範囲では、一問は論理回路が必ず出題されています。
これは情報処理技術者試験とは全く異なる範囲です。
自分も昔はカルノー図を書いたり、フリップフロップ回路等勉強しましたが、これもすっかり忘れてしまいました。
また「(旧)情報工学」では、一問でる数値計算が少し厄介かも知れません。
こちらも情報処理技術者試験の知識では対応出来ません。

また、用語問題が結構厄介です。
いくつかの用語を説明させるのですが、結構タイムリーな用語も出題されており、対策が必要です。
範囲も微妙で対策すれば何とかなるのか?って気がしないでも無いです。

そう考えると、情報処理技術者試験の勉強は、試験に合格すれば万々歳ですが、合格できなかった場合は、その先があまり繋がりません。
応用情報の勉強が全く役に立たない訳ではないのですが、それだけでは60点を確保するのが難しそうです。

選択科目対策

そうなると、情報で選択科目を受けない場合に、選択科目の対策をいつするかです。
情報処理技術者試験の試験日が10月の第3日曜日です。
したがって、それまでは他の選択科目の学習は難しく、11月からの学習になります。
そのタイミングで民法の学習等を始めるとなりますが、そこからで間に合うのか?という問題はあると思います。
近時の短答試験の難易度を考えると、年明けはとても選択科目の対策をしている時間はないと思います。

結局「情報処理技術者試験」と、「選択科目」とのバランスが一つのデメリットではあると思います。
10月の試験で合格すれば問題ないのですが、何とも言えない部分です。

その辺を考えて計画をする必要があると思います。