19−21−イ

質問があったのでお答えします。割とよく質問がある問題です。

19-21-イについて質問です
出A(イ)━ パリユ出B(イ、ロ)━┳  
                  ┗分出C(イ)
                 ↑
                 出D(イ)by乙

<あれ?と思った点>
・44条4項でパリ優先権書面の提出擬制
 ⇒分出Cについてもパリ優先権効力あり?
・出Aと分出Cは同じ発明イが記載
 ⇒分出Cが公開されると41条3項で出Aも公開擬制
解説では
「分割出願の公開には41条3項のような規定はない」という結論ですが、
上記のようにもやもやしています。

私が間違えている点がございましたら、
ご教示いただけますと幸いです

質問者はBをパリ優と書いておりますが、問題文では国内優先権なので、国内優先権として説明します。

国内優先権の場合、先の出願がみなし取下げとなっても、優先権主張をした出願が公開になれば、出願公開されたとみなされます。したがって、この場合は出願Bが公開されれば、Aが公開されたこととなります。

重要なのは優先権主張をした出願が公開されるということです。
ところが、分割出願Cについては、出願Bの効果を引き継いでいるに過ぎません。
Cは、Aの出願に基づいて国内優先権主張をしたという場面では有りません。
44条4項は「同じ手続をしているだけなら、手続を省略できるよ」と言っている規定です。

したがって、Cが出願公開されたからといって、Aから直接優先権主張をしている出願という意味とは少し違います。よってCが公開されてもAが出願公開されたこととはなりません。
なお、20−15−1も変更出願ですが同様の問題があります。

そうすると、出願人に取って不利益がありそうですが、問題は「Bが出願公開されない」=Bを取り下げているということが問題です(公開されないということは、そう考えるのが普通でしょう)。
すなわち、本問の場合は出願人自らが利益を放棄している訳です。

そして、実際はこの手続はあり得ないと思われます。
わざわざBを非公開の状態に持っていく必要が無いからです(なお、1年4月前の取下げであれば、優先権主張も取下げられたことになり、Aが公開されます)。

昨日のブログで書いた「問題のための問題」のお話ですが、まさに今回の問題がそのような事例(実際には起こらないと思われる事例の問題)になります。

ということで、昨日のブログの話は、この問題に繋がっていました。