特46条の2の特許出願が不適法な場合において

実用新案登録に基づく特許出願をする場合は、実用新案権は放棄する必要があります。
さて、もし放棄して特許出願をするのですが、特許出願が不適法であった場合、実用新案権はどうなってしまうのでしょうか?特許出願が認められていないにもかかわらず、実用新案権はなくなってしまうのでしょうか?

この点については、特許庁のQ&Aがあります。

Q:「実用新案登録に基づく特許出願」の際に、抹消登録申請書を提出しました。抹消登録申請書に不備はありませんでしたが、特許出願に不備があることに気がつきました。抹消登録申請書と特許出願はどのようになりますか。

A:不備の内容が、特許出願の要件を満たしていない場合は、特許出願に却下理由通知が発せられます。
「実用新案登録に基づく特許出願」については、一般的な特許出願の却下理由に加え、
(1)期間経過
(2)抹消登録申請書の提出がないまたは申請書の却下理由
(3)実用新案権者と出願人との不一致
が却下理由となります。
ご質問は、抹消登録申請書に不備がなく、「実用新案登録に基づく特許出願」のみに却下理由があるときということですが、抹消登録申請書は登録の目的に「実用新案登録に基づく特許出願の基礎とした実用新案登録に係る本実用新案権の登録の抹消」と記載することとされており、「実用新案登録に基づく特許出願」に却下理由があれば、当該出願がないことになり、抹消登録申請書自体にも却下理由があることになります。
したがって、抹消登録申請書と「実用新案登録に基づく特許出願」の双方に、却下理由通知を同時に発することになります。

要するに、特許出願が却下となった場合は、実用新案権の放棄も却下となります。
したがって、実用新案権がなくなってしまうということは有りません。

これは特許出願が却下となる場合です。そこまで不備が無い場合は、当然実用新案権は放棄されてしまいます。

なお、不備の内容が、却下理由に該当しない方式不備については、「実用新案登録に基づく特許出願」に手続補正指令が発せられます。
この場合、「実用新案登録に基づく特許出願」は出願の要件を満たしているため、実用新案権は、抹消登録申請書により抹消登録されます。
特許出願の手続補正指令に応答しないと、実用新案権と特許出願の双方を失うこととなるため、注意が必要です。