TPP

TPPについては大筋合意となったと昨日報道がありました。
これを受けて、当然関係法律の改正も行われることになると思います。

「環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の概要」が内閣官房TPP政府対策本部より公表されています。
この中で、知的財産については以下のとおりです。

第18章.知的財産
TPP協定で対象となる知的財産は、商標、地理的表示、特許、意匠、著作権、開示されていない情報等である。知的財産章は、これらの知的財産につき、WTO協定の一部である「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPS協定)を上回る水準の保護と,知的財産権の行使(民事上及び刑事上の権利行使手続並びに国境措置等)について規定し、もって、知的財産権の保護と利用の推進を図る内容となっている。
知的財産章の主な規定は,以下のようなものである。

〇医薬品の知的財産保護を強化する制度の導入

(1) 特許期間延長制度(販売承認の手続の結果による効果的な特許期間の不合理な短縮について特許権者に補償するために特許期間の調整を認める制度)
(2) 新薬のデータ保護期間に係るルールの構築。
(3) 特許リンケージ制度(後発医薬品承認時に有効特許を考慮する仕組み)

〇商標

(1) 商標権の取得の円滑化:国際的な商標の一括出願を規定した標章の国際登録を定めるマドリッド協定議定書(マレーシア、カナダ、ペルー等が未締結)又は商標出願手続の国際的な制度調和と簡略化を図るためのシンガポール商標法条約(マレーシア、カナダ、ペルー、メキシコ等が未締結)の締結を義務付け。
(2) 商標の不正使用について、法定損害賠償制度又は追加的損害賠償制度を設ける。

〇 特許

(1)特許期間延長制度(出願から5年、審査請求から3年を超過した特許出願の権利化までに生じた不合理な遅滞につき、特許期間の延長を認める制度)の導入の義務付け。
(2) 新規性喪失の例外規定(特許出願前に自ら発明を公表した場合等に、公表日から12月以内にその者がした特許出願に係る発明は、その公表によって新規性等が否定されないとする規定)の導入を義務付け。

〇 オンラインの著作権侵害の防止

インターネット上の著作権侵害コンテンツの対策のため、権利者からの通報を受けて、プロバイダー事業者が対応することで賠償免責を得る制度を導入。プロバイダー事業者に著作権侵害防止のためのインセンティブを与える制度を担保。

知的財産権保護の権利行使

WTO・TRIPS協定やACTA(偽造品の取引の防止に関する協定)と同等又はそれを上回る規範の導入。
(例)
・不正商標商品又は著作権侵害物品の疑義のある、輸入されようとしている物品、輸出されようとしている物品、若しくは領域を通過する物品について、権限のある当局が職権で差止め等の国境措置を行う権限を付与(ただし,通過物品については,荷宛国への侵害疑義物品情報提供をもって代替することが認められる)
・営業秘密の不正取得、商標を侵害しているラベルやパッケージの使用、映画盗撮に対する刑事罰義務化
・衛星放送やケーブルテレビの視聴を制限している暗号を不正に外す機器の製造・販売等への刑事罰及び民事上の救済措置を導入。

著作権

著作権に関しては次のルール等が規定されている。
・ 著作物(映画を含む)、実演又はレコードの保護期間を以下の通りとする。
(1) 自然人の生存期間に基づき計算される場合には、著作者の生存期間及び著作者の死から少なくとも70年
(2) 自然人の生存期間に基づき計算されない場合には、次のいずれかの期間
(i) 当該著作物、実演又はレコードの権利者の許諾を得た最初の公表の年の終わりから少なくとも70年
(ii) 当該著作物、実演又はレコードの創作から一定期間内に権利者の許諾を得た公表が行われない場合には、当該著作物、実演又はレコードの創作の年の終わりから少なくとも70年
・ 故意による商業的規模の著作物の違法な複製等を非親告罪とする。ただし、市場における原著作物等の収益性に大きな影響を与えない場合はこの限りではない。
著作権等の侵害について、法定損害賠償制度又は追加的損害賠償制度を設ける。

〇 地理的表示(GI)

(略)

引用元:-http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2015/10/151005_tpp_gaiyou.pdf

いつから改正が入るか分かりませんが、そう遠くない将来には改正が入りそうです。
それにしても、法律を作る人たちも大変ですね。